実家が大工だったこともあり、家のすぐ横に作業場があったので、子どものころから、木を使っていろいろなものを作っていました。そのうち知らず知らず自然に、木を使ってモノを作ることに興味を持ちました。住宅のリフォームを手がけるようになったのもその延長線上にあります。リフォーム物件を見ると、自分の手で何となくいじりたいと思ってしまいますね。

　白を基調にアンティークな感じの部屋をイメージして作りました。キッチンは開放感のあるアイランドスタイルにしましたが、とても気に入っています。実際に見た方からは、「ああいうキッチンがほしい」とよく言われます。キッチンカウンターは現地で石を切って作りました。キッチンをはじめ天井、リビング、寝室、すべてを作り替えました。リビングの棚も手作りで、日本で作ったものを一度解体してまたハワイで組み立てました。

　僕の場合は、リフォームを手がける時は、いつも「ああしたい」「こうしたい」というイメージから始まります。とりわけ、テレビ番組のセットからアイデアを得ることが多いです。僕もテレビで仕事をさせていただく機会が多いので、番組用に作られたセットを見ると、「ここ、かわいいな」「ここ、きれいだな」「あれはいいなあ」などと思ってしまいます。こんな感じで自分が見て感じたことなどをヒントに、「今度、こういうふうにしてみよう」といったイメージを作っています。

　僕は、実家が大工だった影響で、子どものころから、ずっと建物を見て育ってきたので、建物を見ると瞬時にその構造が分かるようになりました。今では「この建物の壁の中はこうなっている」「この壁は壊せる」「ここの壁は抜いても大丈夫。この壁とこの壁の間は抜ける」といったことなどが分かります。梁や基礎などの工事に必要な強度の構造計算などは、建築士の人にお願いしていますが、「この部屋をこうしよう。この部屋はこうしてみよう」といった構想から、どうやって作るかという具体的な工程の中身や工事内容まで自分で最初から考えています。

　大工というと一般的には、男性がやるものというイメージが強いと思いますが、個人的には、男女どちらかといえば、女性の方がリフォームやＤＩＹなどを行う際の「大工脳」を持っていると思っています。
　いろいろな機会にお話ししていますが、リフォームやＤＩＹ作業は、男らしい仕事のイメージがありますが、むしろ女性の得意分野だと思っています。例えば、料理をする際には「何を作ろうか。どう作ろうか」といったメニューや調理の仕方などを考えますよね。こんなことを考える、頭の中で行う作業工程は、「この部屋をどうしようか。どのように変えようか」と考えていくリフォームの作業工程に通じるというか、一緒ではないかなと思います。だからリフォーム、ＤＩＹ作業は女性向きなのかもしれません。実際に、「家をきれいにしたい」「住み心地を良くしたい」と強く思うのは女性の方が多いと思います。
　今の時代、ホームセンターには、ＤＩＹ、リフォームに必要な道具がそろっています。「ちょっと作ってみよう」と思ったら、誰でも簡単に始めることができます。インパクトドライバーのような電動工具を使うのは、難しいと思っている方もいるかもしれません。もちろん、意外と難しい部分もありますが、ちょっとしたコツをつかめば、使えるようになり、使ったり作ったりする楽しみが広がると思います。実際に手を動かしてモノを作ってみると面白いです。
※後編に続きます。