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トリ・アングルINTERVIEW

俯瞰して、様々なアングルから社会テーマを考えるインタビューシリーズ

vol.19離島は日本のサテライト拠点?

公開日:2020/7/17

A

[ 後編 ]

離島には都会にないものがある

タレント千鳥大悟

自然環境など観光資源に恵まれる離島。一方で、四方を海に囲まれ、交通の利便性に劣るなど、厳しい条件にあり、また、内地と比べて人口減少や高齢化の進行が著しいといった問題も抱えている。国も離島・都市間の交流事業「アイランダー」や、離島と企業をつなぐ「しまっちんぐ」を開催するなど、離島振興に資する市町村の取り組みを支援しているが、離島の魅力をさらに高めるために必要なことは何だろうか。

都会で暮らしてみて、改めて発見した北木島の魅力はなんでしょう。

 やっぱり、何もないのがいいのでしょうね。不便なのがいいというか。お店も島にはポツン、ポツンとあるのですが、コンビニみたいに24時間開いている店なんて当然ありません。何か買い忘れたら終わりなわけです。だから自分たちで工夫してどうするかと…。そんなところに喜びがある気がします。
 あと、何の音もない世界って想像できますか? 東京ってなにがしかの音があるじゃないですか。でも島では、人の声もしないし、車の音もない。何の機械音もない。都会の人にこういう話をすると、よくいいなぁって言いますよね。ただ、若い人は物足りなくなる。それでワシも島を出たのですが、出たからこそ、その良さがわかる部分があります。

昨年、離島を特集したテレビ番組のMCを務められましたが、印象的な島はありましたか?

 どの島も印象的でしたが、例えば北海道の礼文島のユースホステル。疲れた都会の人や、ちょっと変わった旅行がしたいという人たちが訪れて、宿泊者同士が交流するようにして、みんな仲良くなって帰っていく。ああいうのをみると、島に残った人がすごい努力しているなと思います。みんな「島の良さをわかってもらいたい」と言っていましたね。島によっては、「そっとしておいてほしい」という人たちもいるけれど、観光に力を入れている島には、どんどん行ってほしい。都会の人でもそういう島が合う人はいると思うのです。
 その番組以外にも、昔からロケでいろいろな島に行っていましたが、現地で食べて、今でも懐かしいと思うのは刺し身。刺し身の温度です。都会だと、人が一番おいしい温度で食べますが、島では釣ってきた魚をそのままさばいて出すから、温度が高いというか、ぬるいんです。あと、鯛とかでも都会で食べると甘くてやわらかいですが、島でさばきたてを食べると硬くて味があまりしないのです。だから、TVとかで「コリコリしておいしい」とかコメントしているのを見ると、「噓つけっ!」と突っ込みたくなります(笑)。

【都会では味わえない食材が多いことも離島ならではの魅力である】

※テレビ番組©いろはに千鳥より テレビ埼玉提供

離島は自然などの観光資源も豊富で、移住先としても注目されています。

 そうですね。今回の一連のコロナ禍で、テレビでもリモート出演が増えましたし、一般企業でもリモートワークが普及したと聞きます。その意味でも移住先としての可能性は十分にあるし、高まっていると思います。実際、「そういう島に住んでみたい」という話はよく聞きます。
 一方で、島側からすれば、住んでいる人の高齢化が進む中で、だれがお年寄りを病院に連れていくのか、災害時にどう助けるかを考えると、若い人手が必要です。都会から移住した人に、近所の人が魚も野菜もくれると思うし、釣り方も野菜の作り方も教えてくれる。その分、何かあったときには助けてくれれば嬉しいです。

離島の暮らしを良くするために必要なことは?

 若い人が子育てをすることを考えると、病院と学校がネックになるかもしれません。例えば北木島だと学校は一応、小・中学校があるけれど、全校生徒が3人とかです。病院も入院して、手術できるようなところはないので。
 あとは仕事ですね。確かに若い子が働く場所が少ないかもしれません。インフラ面でいえば、難しいのはわかっていますが、本土とつなぐ船の本数をもう少し増やしてもらえれば、島の人も便利になるし、都会の人も行き来しやすくなると思います。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

 離島は良いところですから、一度行ってみてください。どれだけ都会が便利になっても、離島には都会にはないものがいっぱいあります。都会の生活に疲れた人は、離島の人に触れ合ってみると、「人って、もともと悪い人なんて、ほとんどいないんだ」と気持ちが楽になると思います。(了)