トリ・アングル INTERVIEW

俯瞰して、様々なアングルから社会テーマを考えるインタビューシリーズ

vol.35-2

ワーケーション&ブレジャーで発見!私のワークスタイル

働き方改革や新しい生活様式に対応した、柔軟な働き方として注目される「ワーケーション&ブレジャー」。新たな旅のスタイルとしても、地方創生の一助としても、普及への期待が高まっています。オフィスを離れ、旅先で働くことで得られるものとは。実践者たちの声を通して、働き方や旅との付き合い方のヒントを探ります。

Angle B

前編

「新しい働き方」へのチャレンジ

公開日:2022/7/1

株式会社イトーキ

オフィス家具・事務機器などを扱う株式会社イトーキでは、地方自治体が推進するワーケーション制度を利用して、計9名の社員が長野県岡谷市(2泊3日)と愛媛県南予地方(4泊5日)でトライアル。実際にワーケーションを体験した4名と人事部門の責任者に、そのメリットと課題について伺いました。

お話しいただいた方(写真左より)
勝川 陽代(営業本部、愛媛ワーケーション参加)
秋山 恵(DX推進本部、愛媛ワーケーション参加)
阿志賀 由香(企画本部、岡谷ワーケーション参加)
川島 紗恵子(管理本部、岡谷ワーケーション参加)
山村 善仁(人事本部)

今回、なぜワーケーションをやってみることになったのでしょうか。

川島:岡谷市の施設である「テクノプラザおかや」の1Fをコワーキングスペースにリニューアルする際、当社の製品を納品させていただいたのが縁で、「ぜひイトーキさんにワーケーションでご利用いただけたら」とお勧めいただいたのがきっかけです。
 私たちは「WORKERS happiness」というイトーキのオウンドメディアでさまざまな働き方の最新情報を発信しています。今回はその取材も兼ねて体験してみようということになりました。今回、岡谷のトライアルに参加したのは、広報、経営企画など管理部門の4名です。

行く前に何か不安はありましたか。また、実際に行ってみて、その点はどうでしたか。

阿志賀:まったく知らない土地に行って、そこで生産性を保ちながら普段通りに仕事ができるのだろうかという不安は少しありました。同時に、コロナ禍で閉じこもりがちの生活が続いていましたから、久しぶりに遠くに出かけられる開放感も感じていました。
 実際に現地に着いて仕事を始めると、ほとんど支障はありませんでした。普段東京でやっていることを、そのまま現地でやっているという感覚です。打ち合わせのあとに観光の予定が入っていたりすると、むしろ時間内に終わらせなければとすごく集中できたくらいです(笑)。
 もちろん、私たちが日ごろからモビリティの高い働き方に慣れていることや、それを可能にする設備が整っていたことは大きかったと思います。

川島:いつもと違って自然豊かな風景の中で話をすると会話が弾み、仕事の硬い話だけではなく、いろんなことに話題が広がっていきました。普段の職場では出ないようなアイデアがポンと出てくるのがとても新鮮でしたよ。

愛媛のワーケーションはどういう経緯で、どんな方が参加されたのですか。

勝川:愛媛県本庁舎のスマートオフィス化に当社が携わったことがご縁で、県による企業のテレワーク実証実験にご参加いただけませんかとお声かけをいただきました。
 東京と大阪から、4泊5日という日程で行ける人を募り、営業職が私を含めて2名、デザイナー2名、研究職1名の、計5名で参加しました。

顧客対応が必要な職種の方でも、5日間のワーケーションは問題ありませんでしたか。

勝川:営業職はお客様を訪問する仕事がありますから、期間中になるべくそういう仕事が入らないよう事前に調整が必要でした。今回、メンバーの1人に期間中どうしても訪問が必要な案件が入りましたが、上司が代行してくれることでクリアすることができました。
 デザイナーの1人は到着後すぐにお客様へのプレゼンテーションの仕事がありました。WiFi環境は整っていましたが、実際につないでみないとわからない面もあります。心配でしたが、結果的には何の問題もありませんでした。

秋山:私はデジタル関連のテクノロジーとともにワークスタイルの研究もしています。ワーケーションについても、共同研究や異業種交流でさまざまなケースを見てきました。
私のいる研究部門では、人員の8割が出社勤務するのは月に2日程度で、ほとんどはリモートワークです。全社的にも各拠点の滞在率を30%以下という設定をしていますから、当社の社員にはリモートワークが定着しているんです。

人事部門としては、今回のワーケーションにどんな思いで社員の皆さまを送り込まれたのでしょうか。また、課題として浮かび上がってきた点は何ですか。

山村:当社は、「明日の『働く』を、デザインする。」というミッションステートメントを掲げています。お客様に新しい働き方を提案する側として、われわれ自身が新しい働き方を実践しようという姿勢を重視してきました。
 ワーケーションについては、これから制度を整えていくという段階です。このタイミングでトライアルの機会をいただけたことは、私たちにとって貴重な経験だったと思います。
 今、メディアで取り上げられるワーケーションは、どちらかといえばイメージ先行で、よい面ばかりが強調されがちだと思います。実際には、どこまでを就業とみなすのかなど労務管理の問題や、安全衛生、情報セキュリティ、移動や滞在の費用負担をどうするのかなど、さまざまな検討すべき課題があります。
 今回の経験を踏まえて、今後ワーケーションを本格的に導入するために、わが社らしい制度になるよう整えていきたいと考えています。

イトーキ株式会社
「明日の「働く」を、デザインする。」をミッションとし、オフィス家具や設備などをはじめとした様々なソリューションを提案。人々が働く「空間」「環境」「場」づくりを実践する。2021年に有志によるワーケーション体験を実施した。
長野県岡谷市でのワーケーション体験レポート
https://workershappiness.jp/pickup/okaya-workcation_01/
愛媛県でのワーケーション体験レポート
https://workershappiness.jp/home/ehime-workcation_01/
インタビュー一覧へ

このページの先頭へ