トリ・アングル INTERVIEW

俯瞰して、様々なアングルから社会テーマを考えるインタビューシリーズ

vol.16-2

総力戦で挑む防災・減災プロジェクト~いのちとくらしを守る防災減災~

激甚災害が頻発している状況の中、災害から国民の命と暮らしを守るべく、今年1月に国土交通省はその総力を挙げて、抜本的かつ総合的な防災・減災対策を目指す「総力戦で挑む防災・減災プロジェクト~いのちとくらしをまもる防災減災~」を立ち上げた。国土交通大臣を本部長とする「国土交通省防災・減災対策本部」を設置し、防災意識社会の実現に向けた検討を進めるなどプロジェクトを強力かつ総合的に推進していく考えだ。今回は特集として、基本テーマの取りまとめ役を担う4名の幹部に話を聞く。

Angle A

後編

必要な情報をすべての交通利用者に

公開日:2020/3/31

国土交通省

国土交通審議官

藤井 直樹

災害が発生した場合には、交通手段の途絶をできる限り早く解消するとともに、正確な情報をすべての交通利用者に迅速に伝える必要がある。そのためには、どのような備えを進める必要があるのだろうか。

関西国際空港や成田空港では、利用者が空港に足止めされる事態も発生しました。そうした場合の課題は何でしょうか。

 特に基幹空港では被害を最小限に抑え、なるべく早く復旧させることが大切ですが、その際、空港アクセスもセットで確保しなくてはいけません。鉄道や高速道路のルートを複数確保するインフラ整備を進める一方、これらのインフラが被災した場合には、バスなどフレキシブルに対応できる手段で機動的に対応する体制を整える必要があります。
 また、外国人を含む利用者の安心のためにも、正確な情報をいち早く伝えることも大切です。基幹空港では不測の事態に備えて毛布や水、食料などを備蓄するとともに、デジタルサイネージ等も活用した多言語で災害情報を提供しています。それに加え、人々が、情報を知り得る一番のツールがスマートフォンなどの携帯端末になっていますので、SNS等を最大限活用した情報発信体制と携帯端末の充電手段の確保が重要な課題となっています。

【成田国際空港でのデジタルサイネージによる訪日外国人旅行者への情報提供】

訪日する外国人旅行者にはどのような配慮が必要でしょうか。

 訪日外国人旅行者数は昨年、過去最高の3188万人に達しました。現在は新型コロナウイルスの影響を大きく受けていますが、事態の収束後には再び、多くの方が訪日することが期待されます。かつては外国人旅行者に対する観光案内は英語だけということが多かったのですが、今では中国語や韓国語の案内も広がってきました。さらに近年、東南アジア地域などからの旅行者も増え、さらに多言語での対応が求められています。そして、これらの地域から来られる方たちがどういう手段で情報を得ているのかについて、把握することが重要です。自分の国からの情報を頼りにする場合もありますので、それぞれの国々との連携が求められます。また、新型コロナウイルスの影響で、オリンピック・パラリンピックの開催は2021年に延期されましたが、海外からのお客様に安心して日本滞在を楽しんでいただくためにも、万が一、災害が起きたときに正確な情報をいち早く伝えることができるよう、改めてしっかりと準備しなければと考えています。(了)
【国土交通省では「総力戦で挑む防災・減災プロジェクト~いのちとくらしを守る防災減災~」を立ち上げ、全部局が連携し、国民の視点に立った対策を夏ごろまでにまとめ、防災・減災が主流となる安全・安心な社会の実現に全力で取り組みます。】

Warning: Attempt to read property "ID" on null in /var/www/vhosts/i-0b13cab84c5158e0d/wp-content/themes/grasp/single-angleinterview.php on line 375
インタビュー一覧へ

このページの先頭へ