トリ・アングル INTERVIEW

俯瞰して、様々なアングルから社会テーマを考えるインタビューシリーズ

vol.36

未来を守る、未来をつくる、メンテナンス

老朽化が進む社会インフラを限られたリソースで少しでも多く、長く維持していくため、重要性が増している「メンテナンス」。それは、現状維持のための「守り」だけではなく、安全・安心な未来を手にするための「攻め」の手段でもあります。体のメンテナンスが心の健やかさにつながるように、インフラメンテナンスの進歩の先には何があるのでしょう。先進事例を交えて考えます。

Angle A

後編

小さな成功体験の積み重ねが大事

公開日:2022/7/15

宅トレクリエイター

竹脇 まりな

コロナ禍で家に閉じこもることを余儀なくされたために、毎日の運動量が減って体調が乱れてしまったり、体重の増加に悩んでいたりする人も多いのではないでしょうか。気軽に始められる「宅トレ」を発信する竹脇さんに、具体的な体の動かし方などを聞きながら、上手な体のメンテナンス方法を教えてもらいました。

「運動不足だ」という方が最近は非常に多いと思いますが、家にいながらできる簡単なリフレッシュ方法を教えてもらえますか。

 今、簡単にご紹介するとしたら、机の上のパソコンに向かってキーボードを叩き続けているという人向けに、肘をグルグル回す運動はどうでしょうか。椅子に座りながら腕や肩を動かすだけですが、血流も良くなるし、肩こり解消にも効果的なのでオススメです。このように体の一部を動かすだけでも気分転換になりますし、その結果、後の仕事への集中力も上がると思うので、ずっと同じ姿勢で仕事に向かうよりも、途中で少しでも体を動かす方が仕事の効率もアップすると思います。ずっとパソコンに向かい続けると、巻き肩や猫背になりやすいですし、首が前に出てしまうことで肩こりや眼精疲労も起こしがちです。しかもリモートワークでは、会社にいるより人の目がないので、ちょっと口寂しくなって、ついつい何かをつまみながら仕事をしてしまう、なんて人も多いのではないでしょうか。姿勢が悪いのでお腹に脂肪がつきやすくなるし、食べ過ぎれば体調にも影響を与えると思うので、適度に休憩を入れて体を動かすようにしましょう。やってみて少しでも「気持ちいいな」と思ったら、これをきっかけにフィットネスを生活に取り入れたくなるのではないでしょうか。リモートワーク中に簡単にできる運動はいくつもあって、YouTubeにもたくさん動画をアップしているので見てみてくださいね。

「ちょっと気を抜くと、すぐに体型が崩れてしまう」という人は多いと思います。「筋トレ」、「有酸素運動」、ヨガに代表されるような「柔軟系」について、どんな目的に合わせて取り入れれば体のメンテナンスに効果的か教えてください。

 ウォーキングとかダンス、軽いジョギングなどが有酸素運動で、20〜30分程度続けると脂肪燃焼効果があると言われています。ダブついてきてしまったお肉を落としたいのなら、有酸素運動を取り入れましょう。筋トレには脂肪を落とす効果もありますが、どちらかというと体のラインを整える運動だと思ってください。理想的なボディラインがあって、そこに向かって体作りをしたい時には筋トレを取り入れます。ヨガやストレッチは、体をほぐして柔軟性を高めてくれるものですが、ヨガとストレッチの大きな違いは、ヨガには呼吸法が加わるということです。上手に呼吸しながらヨガができるようになると、体の柔軟性が高まると同時に集中力もアップしたり、ひらめきのような直感力が高まるとも言われています。メンタルも整えることができるので、「心を落ち着かせるようなことをしたい」と思う人にはヨガがおすすめですね。海外では、従業員向けにヨガを取り入れている企業もたくさんありますし、多くの経営者がヨガを趣味にしていたりするのは、そういう理由からなんだと思います。ビジネスパーソンには必要不可欠なフィットネスかもしれませんね。

美しい体を手に入れたい場合には、食事制限をするだけでなくやはり運動もしないといけないものでしょうか。

 私としては食事と運動はニコイチで、引き離せないものだと思っています。過去に、仕事が忙しいから食事だけで痩せようと思ってサラダチキンばかり食べたりしてしまった私ですが、その後アスリートフードマイスターなどの資格も取得して、今はしっかり食事と運動のそれぞれの効果と役割を理解しました。バランス良い食事を摂ることによって、肌がきれいになったり、便通が良くなったり、カロリーコントロールすることで脂肪が落ちたり、もちろんきちんとした食生活を取り入れるだけでも体の変化はあると思います。でもウエストのくびれをつくるために、食事だけでどうにかしようとするのはなかなか難しいんです。サイズダウンはできるけれど、くびれをもたせるボディメイクに直結しないなんてことはままあることです。食事だけで理想の体づくりを目指すより運動も一緒に取り入れた方が、内側からも外側からも整った体づくりができると私は思っています。フィットネスをすることで余分な脂肪が減って筋肉がついて、体のかたちがキレイに変わってきますよ。食事制限だけのダイエットをするよりも、バランスの良い食事と適度な運動を両軸に据えることができれば、よりヘルシーにボディメイクができると思います。

フィットネスをやってみたものの、思ったような結果がなかなか出なくて挫折する人もいると思います。そんな人にはどんなアドバイスをされますか?

 そういう人には「写真を撮ってください」とよく言っています。そして過去の自分と比較するんです。「結果が出ない」と思っても、客観的に見たら意外に変わってたなんてことはよくあることです。自分の顔だって毎日見ているとあまり変化には気づかないですよね。キメとかシミとかクマだとか、ちゃんとフォーカスして比べる対象があれば、変化はしっかりとわかるものです。なんとなく運動して、なんとなく変わってないなと思うのではなくて、きちんと比較するようにしましょう。写真を撮影する場合は、姿見の前で下着姿とか裸になって撮ることをオススメします。最初のうちは自分の姿を受け入れがたいかもしれませんが、そのうちに自分の変化をリアルに感じられるようになって、思いもよらなかった変化も見つけやすくなると思います。私も毎日見ていますけれど、例えば太ももと太ももの間にそれまでなかった隙間ができて、「あれ、お肉がなくなってるな」と気づいたりします。自分で期待したような変化じゃないこともありますが、それも含めて、ちゃんとフィットネスを続けていれば何かしらの変化はあるはずなので、写真を撮って効果を確認してみてください。もし「自分の姿を直視したくない」と言う人は、メジャーで各部位を測って変化を確認するのでもいいと思います。ただ私はしまってあるメジャーを取り出してくるのがそもそも面倒くさくて、測るのも時間がかかるし、測ったサイズをメモするのも手間だなと感じてしまうタイプ。私のような人は、いつも手元にあるスマホで撮影する方が簡単で、しかも全身チェックできるのでいいと思います。

今後、どのような活動をしていきたいと考えていますか?

 今までもこれからもずっとなんですけれど、「宅トレを当たり前の世界にする」という目標を掲げてチームで活動しています。「宅トレ」がもっともっと世の中に浸透して、ジョギングとかヨガと同じくらいの存在感になることを目指しているところです。最近は「宅トレ」と言っても意味が通じるようになってきましたけれど、正直まだ今は一時的なブームに乗れただけだなと感じています。一時的でもブームになったことはもちろん嬉しいけれど、私たちはそれよりも「宅トレ」を文化にしたい。ジョギングもひと昔前はひとつのブームでしたよね。でも今ではすっかり浸透して、多くの人が健康を維持したり、目標のタイムを目指したりして、日々の生活の中に定着しています。「宅トレ」もコロナ禍があったこともあり、ムーブメントとして受け入れられている実感は少なからずありますが、ジョギングのように文化として根付くためにはどうしたらいいか、そうなるように今後、さまざまな仕掛けをしていけたらなと思っています。そして欲を言えば、牛丼と言えば吉野家と思い浮かぶように、「宅トレ」と言えば「竹脇まりなチャンネル」だったり、プロデュースしている「MARINESS」というブランドの名前が思い浮かぶようになったらいいですね。

これから新しいことにチャレンジしようとする人に向けて応援のメッセージをお願いします。

 目標は高く、ハードルは低く、チャレンジしていきましょう!私たちも「宅トレを当たり前の世界にする」と、自分たちの力だけではなかなか難しいような、かなりハードルが高いことを宣言しちゃっていますけれど、「こうなりたい」とか「こういう仕事をしたい」とか、大きい夢を思い描いたり、目標とするところは、めちゃくちゃ高いところにあっていいと思うんです。大事なのは、夢の実現のために何をするのかということ。そこに向かうための低い目標を設定して、そのステップを積み重ねていくことができれば、大きな夢や高い目標に到達することができるんだと思います。だから「目標は高く、ハードルは低く」なんです。
 私がこういう思考を持てるようになったのは、会社員をやめてフィットネスの仕事を始めたいと思いはじめたくらいから。私の考え方を変えてくれた一番大きな存在だったのは、夫です。彼は私の人生の節目で、いつも本当にいいアドバイスをしてくれます。転職する時も私がすごく悩んで、何がしたいのかわからなくなっていた時に、「2ヶ月後に死ぬとしたら、今やりたいことは何か想像してみなよ」と言ってくれました。「自分が本当にやりたいこととか、なりたい自分につながるような仕事を、今、この瞬間からやればいいんじゃない?」って言ってくれる人なんです。だから今ある私の思考は、夫に多分に感化されたもの。それまでの私は一攫千金みたいなことをあてにして、コツコツ努力するのがとても苦手な人間だったんですけれど、彼は小さな成功体験を大事にしていて、コツコツ継続することの大切さを教えてくれました。ロジカルだけど、心はとても熱くてポジティブな人。だから今の私があるのは、彼のおかげだと思っています。彼も含めたチームのメンバーと一緒に、一つひとつ小さなステップを昇りながら、いつか夢を実現させたいですね。

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