トリ・アングル INTERVIEW

俯瞰して、様々なアングルから社会テーマを考えるインタビューシリーズ

vol.28

日本の自然再発見!アウトドアで暮らしを豊かに

近年キャンプブームが再熱している。キャンピングカーの市場は年々成長しており、昨年は一人でキャンプを行う「ソロキャンプ」も新しいアウトドアスタイルとして注目された。また国営ひたち海浜公園のネモフィラがつくる絶景がSNSで知れ渡り、茨城でも有数の観光スポットとなった。新型コロナウイルスの感染拡大にともなう外出自粛も経験したことで、より一層高まる自然に触れ合うことの価値。アウトドアに魅了される人々への取材を通じて、生活者の心境の変化や新たなライフスタイルの可能性を探る。

Angle A

前編

大自然パワーで元気いっぱい

公開日:2021/4/16

女優

鉢嶺 杏奈

近年キャンプブームが再燃している。キャンピングカー市場は年々成長しており、昨年は一人で行う「ソロキャンプ」も新たなアウトドアスタイルとして注目されている。旅番組やクイズ番組のリポーターとして、キャンプやサイクリングなどアウトドアの魅力を発信しながら、プライベートでもダイビングや山登りを楽しむ女優の鉢嶺杏奈さんに話を聞いた。

アウトドアの魅力について教えてください。

もともと私は、インドアというより、外に出るのが好きなタイプの人間なので、やはり、非日常感が一番の魅力だと思っています。たとえば山登りなら、おにぎりや水筒を持って友達や家族とワイワイ言いながら、四季折々の花や緑に癒されて。汗水たらして山道を歩いて、山頂まで行って。「わー! すごい達成感あるね」って。過酷な山じゃなかったら、たった1日で癒しと達成感の両方が味わえるんですよ。仕事とかでも達成感は味わえますが、1日で、というわけには、なかなかいきませんよね。あと、私はとくに山頂で風に当たることが好きで、今私に吹きつけている風は、今までどこの誰にも吹いていない風なんじゃないか……なんて思うんです。山のふもとと山頂では温度も全然違うので、空気のきれいさを感じます。都会生まれだからか、すごくそれが好きで。体にしみわたっていく「浸透率」が高いって感じるんです。

【奥日光でのサイクリングロケで自然を満喫する鉢嶺さん】

※鉢嶺さんのインスタグラムから

山登りのほかに、スキューバダイビングも好きですよね?

スキューバダイビングは大好きですね。海は、地球と一つになっているって感覚が一番するところなんです。地球の中に入ったみたいな、ちっちゃい宇宙みたいな、お母さんのおなかの羊水の中みたいな。すごく癒しをくれるし、生命にあふれている。だけど、人の命を簡単に奪ってしまう場所でもあるから、絶対になめちゃいけない。敬意を払いながら、その土地の人にアテンドしてもらって行くんですけど、水温や一緒に潜るバディの雰囲気で、同じ海でも全然違うダイビングになるのでおもしろいです。
(新型コロナウイルスの影響で)昨年以降は行けていませんが、オープンウォーターダイバーライセンスを2014年に取ってから毎年1~2回は、プライベートで潜りに行っています。オーストラリアのグレートバリアリーフなどにも行きましたし、冬のダイビングに挑戦したこともあります。国内では、沖縄・慶良間諸島や静岡・伊豆の海が好きですね。
潜ってみるとわかるのは、サカナ1匹ごとに性格が違うんですよね。同じ種類でも、人間に近寄ってくるサカナもいれば、避けるサカナもいる。ちゃんと喜怒哀楽もあって、ハリセンボンなんか警戒するとブックブクにふくらんでめちゃめちゃ怒った顔するんですよ。マンガみたいな表情になるんです。これまでは食べるだけ、見るだけのサカナだったのが、全然違って見えてきます。潜ったことがない方には、ぜひ潜ってみてほしいですね。

ダイビングにはまったきっかけは何ですか?

実は「世界ふしぎ発見!」(TBS系)のロケなんです。私の両親は沖縄出身なんですけど、沖縄の人って海に入らないんですよね。小さい頃は「海は危険だ」と教えられていて、足を浸すくらいで、頭まで入ったことはありませんでした。そんな海を知らない私が、インドネシアのラジャアンパットという、潜るだけで何千種類ものサカナに出会える、世界中のダイバーさんが潜りにいくような神秘的な海域に、体験ダイビングロケに行っちゃったんですよ。そうしたら、もう「私はこの20年間なんて損をしたんだろう!?」って後悔するぐらい素敵でした。アニメでよく描かれるような、カラフルな海の世界。緑色の貝殻とかピンク色のイソギンチャクとか。そういう世界がちゃんとリアルに海の中にあって。地球の海の中にはこんなに色がいっぱいあるんだって感動しちゃって。海をあがったら感想を教えてくださいって言われていたのに、感動しすぎて泣いちゃって、言葉にならなくて…。リポーターとしては、あるまじきことだったんですけどね(笑)。

【スキューバダイビングでサカナとの触れ合いを楽しむ鉢嶺さん】

※鉢嶺さん提供

山や海で感じる自然のエネルギーや生命力は、生活のなかでも力になっていますか?

女優やタレント業は表に出る仕事だから、たとえば何か悲しいことがあっても笑っていなきゃいけないことがあります。自分で自分を奮い立たせるのって結構大変なんですけど、そういう時に自分の気持ちが持って来やすいのは、そういう経験があるからかなと思っています。山や海に行って、「自分が考えていたことなんてちっぽけだったかも」って思う瞬間って、みんな1回はあると思うんですけど、その感覚を、行かなくても思い出せるんですよ。仕事でなかなかありがたい経験をさせてもらっているというのもありますけど、夕日を見て感動して涙を流すとか、星空に心が震えるとか、高い山で雲の中を歩いた感覚とか、そういう強烈な瞬間は、目をつむるといつでも思い出せますね。東京にいるだけだったらわからなかったことだと思います。
ただ、自然のエネルギーって、ずっと残るもののほかに、短期に消費しちゃう癒しのエネルギーもあると思うんですよ。山や海へ行くのは、そういうエネルギーを蓄えにいかなきゃ、調達しにいかなきゃって感覚です。ある意味〝治療〟ですね。(旅番組の)ロケでは、仕事ですが、めちゃくちゃエネルギーをもらっていると思いますね。

元気の秘密は、自然のパワーというわけですね。 地上波のテレビ番組でサイクリング旅も紹介されていますね?

プライベートでも結構自転車ユーザーなんですよ。1時間弱の距離だったら自転車で行っちゃいます。雨が降っていなかったらどこにでも行けるのがいいですよね。
「よじごじDays」(テレビ東京系)のロケで印象に残っているのは、どの場所も季節によって景色も違うし、旬の食べ物も出会う人も違うので面白くて一つに絞るのは難しいですが……うーん、軽井沢ですね。ロケはちょうど紅葉のシーズンだったんですけど、天気も良くて。私は赤が好きなんですが、自然の赤ってこんなにたくさんあるんだって。いろんなグラデーションの赤が楽しめました。「ささやきの小径(こみち)」という別荘ロードがあって、いろんな個性的な別荘が並んでいて、「こんなに都心から近くて畑にも行ける自然があるんだったら、将来住みたいな」って思うくらい良かったですね。軽井沢に別荘を建てるのが夢になりました。歴史的な木造の教会もあって、すごく日本の魅力が詰まっていて楽しかったです。ロケでは白糸の滝にたどり着けなかったので、いつか行きたいです。

【軽井沢でサイクリングのロケに臨む鉢嶺さん】

※鉢嶺さんのインスタグラムから

同じく「よじごじ」や、WOWOWの「アウトドアシップ」では、キャンプにも挑戦していますね?

キャンプの頻度的には多い方じゃないと思うんですが、ちょっとサバイバルみたいな過酷すぎるキャンプが多くて、魅力に気が付いたのは実は、最近なんです。
初めてのキャンプは、「世界ふしぎ発見!」のアマゾンでのロケで、アマゾン川を上流に船で上っていくんですけど、夜になるとワニが出てきたり、流木にぶつかったりして船が沈没するといけないので、夕方になると川沿いの集落にお願いして泊まらせてもらうんです。泊まるといっても、部屋があるわけじゃないので、一人ずつテントを張って寝ます。ものすごく臭い下水道の近くとか、建築中の高床式倉庫みたいな家の軒下とか、囲いもされていないようなところでテントを張るんです。誰も手伝ってくれないし、教えてもくれない。でも、テントを張らなきゃ寝られない、目で見えるくらい大量の蚊が飛んでいて、早くしないと餌食(!)になっちゃうので、見よう見まねで必死でした(笑)。すっごい臭かったんですけど、満天の星空がすごくきれいでした。
昨年結婚した夫はキャンプが大好きで、仲間と行くようになって「キャンプってこんなに楽しいんだ?!」って気づいたんです。一番好きなのは、焚火ですね。私は自分で火をおこすのも好きだし、火をおこした後に眺める時間も好きです。ずーっと見ていられます。不定期なパチって音や光で、癒されます。あと、火って人の心を開く力があって、火の前だとみんな正直になれる。不思議と話があまりマイナスにならないので、友達と深い話ができる。ぜひ大切な人や友人と行って、一体感を味わってほしいです。

今後行ってみたいキャンプ地や挑戦したいアクティビティはありますか?

キャンプ地じゃないんですけど、キャンピングカーの旅をやってみたいですね。コロナもあったせいか、家のままどこかに行きたいなって思っていたんです。インスタグラムでも海外の方が自分で作ったり、自分なりにアレンジしたりしたキャンピングカーを紹介しているものもよく見ていて素敵だなって。友達や家族とキャンピングカーをシェアしてドライブしながら、今日は何もない高原で星空を見てご飯食べようとか、滝を見ようとか、転々として、旬のものや景色を楽しみながら移動するのってすごく充実した時間だろうなって思うんです。日本だったら、北海道や沖縄に行きたいですね。ぐる~っと1周したいです。
いつか挑戦したいアクティビティは、スカイダイビングですね。バンジージャンプは何度もやらされたので、怖さはわかったんです。人間って、距離が分かると怖いんだと思うんです。だから、スカイダイビングぐらい高くなれば、距離が分からないから、楽しいんじゃないかなって。いつかやってみたいですね。
※後編に続きます。

はちみね・あんな 1989年7月19日生まれ。東京都出身。TBS系バラエティー「日立世界ふしぎ発見」ミステリーハンター。映画やドラマ、CMで女優として活躍する一方、テレビ東京系「よじごじDays」ではサイクリング旅のリポーター、キャンプの魅力を紹介するWOWOW「アウトドアシップ~ソト・タビ・アレコッレ~」にも出演。インスタグラムやツイッターなどSNSを通じても、アウトドアの魅力を積極的に発信している。昨年一般男性と結婚。趣味はダンス、スキューバダイビング。
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