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トリ・アングルINTERVIEW

俯瞰して、様々なアングルから社会テーマを考えるインタビューシリーズ

vol.22仮想空間に広がる新たな可能性!

公開日:2020/10/23

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[ 後編 ]

仮想空間のビジネス利用は今後も拡大

IGN JAPAN編集長ダニエル・ロブソン

新型コロナウイルスの感染拡大を防止するための外出自粛で、会いたい人に会えない現実の自分に代わり、ネット上につくった好みのキャラクターなどを通じて気軽に交流やエンタメ、スポーツを楽しむスタイルが定着している。企業においても、ウイズ・コロナ、アフター・コロナを見据えたデジタルトランスフォーメーション(DX)の一環として、仮想空間を活用したビジネスモデルを模索する動きが加速しそうだ。

世界の業界の動向を教えてください。

 アメリカのTV番組で、任天堂ゲームソフト「あつまれ どうぶつの森」の仮想空間にアバターを登場させて、ボイスチャットでインタビューするという企画がありました。女優のセレーナ・ゴメスさんらセレブたちもアバターとして参加し、たいへん盛り上がっていました。その中で、任天堂の競争相手であるマイクロソフト社のフィル・スペンサー氏もインタビューされ、家庭用ゲーム機「Xbox」の戦略を語るという場面がありました。このように、仮想空間をメディアとして活用する動きが加速しています。その先導役が「フォートナイト」です。
 その運営会社であるアメリカのエピックゲームズ社は、音楽・映画・ゲームなどのコンテンツのプロモーション事業に力を入れていて、例えば、映画「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」の封切り前、フォートナイト内でしか見ることができないワンシーンを公開しました。ゲーム内の映画館に集まって、プレーヤーたちが予告編を見るというユニークな企画で話題を集めました。また、マーベル・スタジオのキャラクターがフォートナイトのゲームに登場したり、マシュメロやトラヴィス・スコットといった有名アーチストのライブを開催するなど、クロスオーバーの企画も大当たりし、「パーティロイヤル」というイベント専用の仮想空間まで設けられました。エピックゲームズ社は、ゲーム内の音楽を配信するためのライブスタジオをロサンゼルスに設立し、音楽だけではなく、自社開発のゲームエンジンを使って、映画やドラマのセットをつくるなど、未来的な取り組みを展開しています。

【「フォートナイト」チャプター2-シーズン4では、アイアンマンなどマーベルの人気ヒーローが登場】

※(C) 2020, Epic Games, Inc. Epic、Epic Games、Epic Gamesロゴ、Fortnite、Fortniteロゴ、Unreal、Unreal Engine 4およびUE4は、米国およびその他の国々におけるEpic Games, Inc.の商標または登録商標であり、無断で複製、転用、転載、使用することはできません。

バーチャルYouTuberなど日本発祥のコンテンツも誕生しています。

 日本国内のインフルエンサーの中には「顔出し」したくない人がたくさんいますが、海外ではあまり考えられない日本特有の文化だと思います。顔を隠しながらゲーム実況などができるのがバーチャルYouTuber(Vチューバ―)で、有名になってもプライバシーを守れるメリットもあり、日本のインフルエンサーにとっては魅力的です。一方、スポンサー企業にとってもメリットがあります。芸能人などのセレブを使うと、スキャンダルによって大きな損失を被るケースが増えていますが、実際には存在しない架空の人物であるVチューバ―にはそういうリスクはありません。また、運営会社にとっても、「有名になったから、ギャラを上げてほしい」とか、「休みがほしい」などと要求される心配がなく、コストをコントロールしやすいメリットもあります。
 日本では、今後もVチューバ―をビジネスに活用するケースは増えるでしょう。すでに、アイドルの握手会のように、Vチューバ―と仮想空間で双方向的な交流を楽しむ取り組みも増えています。一方、海外展開を進めているケースでは、これまでのところ、東南アジアなどではチャンスがありそうですが、欧米では「顔の見えない、誰だかわからない仮想人物の発言を信じられない」という声もあります。「ヤマトアミ」のように欧米でも受け入れられている例もありますので、文化の違いを乗り越え、存在感を高めていけるかがカギです。

コロナ禍で東京ゲームショウ2020は初のオンライン開催となりました。

 オンライン開催になったことで、リリース間近のソニー「プレーステーション5」やマイクロソフトの「Xbox seriesX」など注目の次世代ゲーム機を試遊できず残念でした。ただ海外のゲームファンが参加してコミュニケーションできたことや、オンライン商談ができる仕組みを導入したことで出展企業にもメリットがあったのではないでしょうか。
 今後5G(第5世代移動通信システム)が本格化し、グーグルやマイクロソフトなどが展開するクラウドゲーミングがスムーズに使いやすくなり、画質も高まることが期待されます。より没入感の高いゲームも登場しゲームを楽しむ人も増えるでしょう。

IGN JAPANはどんなメディアを目指しますか?

 最近のゲーマーは、ゲームだけが好きというより、映画やコミックなどのエンタメも好きです。ファンの人たちが知りたい情報を届けるのが、「IGN JAPAN」の使命です。ゲームや映画のレビューを掲載していますが、「いいところは褒めて、ダメなところは叱る」という、ユーザー目線で信頼性の高い批評を提供しています。ゲーム大好きな編集部のメンバーが、話題のゲームについてとことん語る、「ゲーマーズ・ベスト」なメディアを目指します。
 また「あつ森」に代表されるように、老若男女を問わずゲームを楽しむひとが増えています。世界中の人たちとつながり、さまざまな文化を知りながら楽しむことができるゲームの魅力を伝えたいと思います。(了)