トリ・アングル INTERVIEW

俯瞰して、様々なアングルから社会テーマを考えるインタビューシリーズ

vol.34

持続可能な社会へ!建物の木造化がもたらすもの

近年、国産木材を建築物などに活用する動きが広がっています。大気中の二酸化炭素を取り込んだ樹木を木材として固定することで、大気中の二酸化炭素量の削減につながります。また、森林の有効活用は、山や森の機能を回復し、土砂災害防止や洪水の緩和などが期待できます。そして木材がもつあたたかさは、利用する私たちに癒やしや安らぎを与えます。住宅から公共建築物、中高層ビルまで、木造の魅力と可能性について考えます。

Angle B

前編

町有林でつくった「ふみの森もてぎ」

公開日:2022/3/1

栃木県茂木町

副町長

小﨑 正浩

栃木県南東部に位置する茂木町は、人口約12,000人。自然豊かな里山の風景と、城下町の面影を残す歴史的町並みが特長です。町の面積の約65%を山林が占めています。平成28(2016)年に、町有林の無垢材を使用した文化交流施設「ふみの森もてぎ」がオープン。その中心的役割を担った小﨑正浩副町長にお話をうかがいました。

「ふみの森もてぎ」とは、どのような施設ですか。

 茂木町の中心市街地に設置した複合文化施設で、館内には図書館機能を中心に、歴史資料展示室、ギャラリー、カフェ、体験研修室などを併設しています。
 もともとこの場所には、元禄年間(18世紀初頭)に創業した造り酒屋がありましたが、320年の歴史に幕を閉じ、その跡地が使われないままになっていました。そこで、平成24(2012)年に町で跡地を取得し、中心市街地活性化の拠点づくりをスタートしたのです。
 町に足りない施設として、町民からの要望が高かったのが図書館です。当時茂木町には図書館がなく、図書館を利用したければ他の町に行くしかありませんでした。
 また、茂木町は鎌倉時代に築かれた茂木城の城下町として発展してきましたが、その歴史的資料を展示する場所がない。や、古くから文化交流が盛んで、茂木にゆかりのある芸術家も多く、町民の文化・芸術活動熱が高いにもかかわらず、発表・展示の場所がない――などの声が上がり、ふるさと茂木の歴史と文化に触れるとともに、学びと楽しみを通じて人が集まり、町を活性化する拠点にしよう、ということで、現在の形になりました。

茂木駅からも近く、町の中心地に位置する「ふみの森もてぎ」

「ふみの森もてぎ」をつくるにあたって、大切にされたことは何ですか。

 現在は城山公園となっている茂木城跡から、茂木の市街地を見下ろせます。すると「ふみの森もてぎ」は、まさに町の中心にあることがわかります。巨大な建築物を建てて周囲を圧迫するのではなく、あるいは奇抜な仕掛けをして一時的な注目を集めるのでもなく、茂木の歴史的な町並みに馴染む建物をつくろうと考えました。
そこで着目したのが町有林です。町にはおよそ400ヘクタールの町有林があります。その半分が林齢50年生から100年生くらいの杉やヒノキの人工林です。施設建設にふさわしい木材が調達できるため、町有林主体の木造建築で進めることにしました。
ところが、ここで大きな問題に直面しました。「ふみの森もてぎ」は、のべ3000平方メートルの計画でしたが、大通りに面したところは準防火地域に指定されており、木造建築は500平方メートル未満までのものしか建てることができないのです。
 そこで、木造建築の間にRC(鉄筋コンクリート)造をはさむことで、この問題を解決しました。「ふみの森もてぎ」は、木造―RC造―木造―RC造―木造という配置で、5棟をつなぎ合わせて一つの建物のように構成しています。準防火地域に当たる部分は500平方メートル未満、22条区域(防火地域・準防火地域以外の木造住宅地)に当たる部分は1000平方メートル未満にすることで、木造建築主体の施設をつくることができました。
 このように、建築基準法や都市計画法上の制約があっても、法律解釈をきちんとすれば、工夫次第で木造建築ができることを示せたのではないかと思います。

使われている木材は、すべて町有林なのでしょうか。

 下地などの見えないところに使っている細い部材を除けば、すべて町有林です。「ふみの森もてぎ」には約800立方メートルの木材を使っています。一般的な木造住宅で使われる木材が約20立方メートルだとすると、およそ40戸分の木を使用したことになります。
 じつは茂木町では、平成20(2008)年に茂木中学校の校舎を木造で改築しています。これは、先人によって残された茂木の森林資材を有効活用するために町を挙げて取り組んだ事業で、質の高い木材を手間ひまかけて加工し、町の財産として未来へと受け継いでいける学び舎として完成させました。
 おかげさまで茂木中学校は平成20年度「全建賞(建築部門)」をはじめ、いくつかの賞をいただき、全国から1万人を超える視察者にご来訪いただきました。皆さま感嘆の声を漏らされますが、そのあと出てくるのが「うちにはこんな立派な木はないから……」「すばらしい校舎だけど、うちでは建てられないな……」といった言葉なのです。
 そこで、「ふみの森もてぎ」はすべて市販の規格の木材で建てることにしました。使用したのは、幅120ミリメートル、背240ミリメートル、長さ4メートル程度の中小断面材がメインです。大空間が必要となる部分も、これらの部材を組み合わせた架構で対応しました。これなら自分の町に木がなくても、市販の流通材で建てられるはずです。

間に柱がなく、大きな空間が広がる図書館エリア

具体的にはどのような工夫をされたのでしょうか。

 最も広いスペースは図書館で、996平方メートルあります。ここは「吊り(サスペンション)構造」と「アーチ構造」という力に強い2つの構造を組み合わせた「連接サスペンアーチ構造」により2メートル材を継ぐことで、スパン(柱と柱の間の距離)16.2メートルの屋根を支える広い無柱空間を実現しました。
 また、交流広場は「平行弦トラス桁構造」、町民ギャラリーは「重ね垂木によるゲルバー梁構造」という別の工法で建築し、いずれも床、天井、壁面に町有林の無垢材を使用した、木の温もりを感じる空間になっています。

利用者にとっても居心地が良さそうです。

 町内だけでなく、町外からも多くの方に足を運んでもらえるほど、皆さまに親しんでいただいています。皆さん居心地がいいようです。口コミでそんな話が広がっているのでしょうか、真岡鐡道を利用して訪れる方もあります。コロナ前には年間10万人以上の利用がありました。
 年代は老若男女問わずです。小さなお子様連れのご両親が絵本を借りに来られたり、高校生が勉強に来たり。年輩の方にも喜ばれています。カフェも併設されていますので、憩いの場として利用することもできます。
 展示ギャラリーは希望者が多く、予約が取りにくい状況です。茂木の町の新たなにぎわいの拠点として、地域の人々に定着しつつあるのではないでしょうか。
※後編は3月4日(金)公開予定です。

おざき・まさひろ 1961年栃木県茂木町生まれ。大学で林学を学び、1984年に茂木町職員として故郷に戻る。建設課や教育委員会、企画課などで、茂木中学校、学校給食センター、ふみの森もてぎなどの建設に携わる。2021年より現職。

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今回はその中でも「下水道資源の農業利用」にフォーカスし、下水道の持つ高いポテンシャルに迫ります。

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vol.43

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無人航空機(ドローン)の新制度についての詳細はこちらをご参照ください。
(国土交通省無人航空機総合窓口サイト https://www.mlit.go.jp/koku/info/index.html)

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vol.41

雪国だけじゃない! 雪の脅威から身を守る

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速く流れ、重く積もる雪が、人命を脅かす

アルピニスト

野口 健

雪の専門家に聞く、日本の雪氷災害事情

防災科学技術研究所 雪氷防災研究センター

センター長

中村 一樹

計画運休や除雪対策で豪雪地帯の駅間停車を未然に防ぐ

東日本旅客鉄道株式会社

新潟支社 (前編)
大宮支社 (後編)

vol.40

令和の橋は何をつなぐのか?

インフラとして非常に重要な役割を任う「橋」。その一方で、絵の題材、映画や小説の舞台、観光スポットなどとしても、昔から世界的に人気があります。それは姿の美しさだけでなく、「川や谷などの障害を越え、異なる場所と場所とをつなぐ」という橋本来の役割に、私たちがドラマを感じてしまうからなのかもしれません。人、文化、希望、未来……と、いつの時代もさまざまなものをつないできた橋。令和の今、改めてどんな役割を担うのか、近年課題となっている老朽化の問題も含めて、橋との関わりの深い方々にお話をうかがいました。

異なる世界をつなぐ橋から生まれる物語

作家・ドイツ文学者

中野 京子

個性豊かな橋を造り上げた技術者たちの挑戦

東京都道路整備保全公社

橋梁担当課長

紅林 章央

春吉橋架替事業から見える、橋梁インフラの現在

九州共立大学名誉教授、九州大学名誉教授

牧角 龍憲(前編)
坂口 光一(後編)

vol.39

デジタルは日本の救世主足り得るか?

コロナ禍以降、日本でも急速に進み始めたデジタル化。今やキャッシュレスオンリーの店舗もあり、テレワークが基本の企業も続々と増えています。こうした流れを受け、国土づくりの指針となる新たな国土形成計画の検討を進めており、今年7月に公表した中間とりまとめでは、東京一極集中の是正や地方から全国へのボトムアップの成長に向け、「デジタルの徹底活用」を挙げています。とはいえ、具体的にどう活用すれば良いのか、悩んでいる人も少なくないはず。そこで、一足早くさまざまな課題にデジタルを用いて取り組んでいる方たちにお話をうかがいました。

国際競争力の低下がコロナ禍で顕著に。日本の起死回生の鍵とは

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安宅 和人

データ×前例にとらわれない発想で誰もが暮らしやすい街づくり

高松市役所

“分ける”から“兼ねる”へ。デジタル化が変えるサービスの仕組み

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もうひとつの「現実の街」を描く空想地図

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ヒロインは航空管制官

俳優、ドラマ『NICE FLIGHT!』プロデューサー

中村 アン
神田 エミイ 亜希子

航空管制官は魅力ある職業

監督

宝来 忠昭

空の旅がさらに面白くなる「航空管制官」の基礎知識

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北角 信彦(前編)
岡田 崇太郎、梅原 菜帆(後編)

vol.36

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体も心の佇まいも健康に

宅トレクリエイター

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見えないところで生活を支える下水道

株式会社建設技術研究所

鈴木 英之

中長期的な視点で空港の維持管理を改善

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大自然パワーで元気いっぱい

女優

鉢嶺 杏奈

高機能作業着をアウトドアで着こなす

株式会社ワークマン

広報部

伊藤 磨耶

自然豊かな国営公園 地域の憩いに

国土交通省都市局公園緑地・景観課

国営公園整備係長

田中 希依

vol.27

復興の先へ!震災10年のまちづくり

岩手、宮城、福島の3県を中心に甚大な被害をもたらした東日本大震災の発生から10年が経過する。2011年3月11日、震災に伴う津波や建物の倒壊などで死者、行方不明者、関連死を含め2万2000人以上が犠牲になり、街並みはがれきの山へと一変した。しかし、この10年間で住宅や道路、鉄道などのインフラ整備が進み、被災3県は浸水地域の1万8000戸の宅地整備を終えている。未曽有の被害でゼロから始まったまちづくりを振り返り、復興の現在地と未来を探る。

「死」を覚悟した3.11 芸能活動の糧に

俳優

横田 龍儀

「ありがとう」 被災地に浸透するUR

独立行政法人 都市再生機構

震災復興支援室長

草場 優昭

原発被害からの復興…街づくりは天命

福島県浪江町

まちづくり政策顧問

清水 喜代志

vol.26

伝統の灯を消すな!無形文化遺産

2020年12月、国連教育科学文化機関(ユネスコ)は、日本の宮大工や左官職人らが継承する「伝統建築工匠(こうしょう)の技 木造建造物を受け継ぐための伝統技術」を無形文化遺産に登録することを決定した。建造物そのものだけでなく、それを支える技術を登録することで、国際社会での無形文化遺産の保護の取り組みに大きく貢献することが評価された。国内のみならず、世界に日本の伝統工芸技術を発信することで、いかにして後継者不足を克服し技術を継承するべきかを探る。

恩返しの繰り返し

歌舞伎俳優

尾上 松也

日本の伝統を次の世代へつなぐ

株式会社和える

代表取締役

矢島 里佳

巨大復原建造物で「奈良時代」体感を

国土交通省近畿地方整備局京都営繕事務所

保全指導・品質確保課長

野﨑 浩記

vol.25

鉄道×デザインのニューウェーブ

新型コロナウイルスの感染拡大により、通勤や旅行需要が減少し、各社は利用者の大幅な減少に苦慮しているが、鉄道には単なる移動手段としてのみならず、快適な旅を演出する空間や、車窓から見える風光明媚な景色を楽しめるなど魅力が満載である。なかでも近年は、内外装に意匠を尽くした観光列車や、居心地の良い駅舎などのデザインが注目を集めている。そこで、奇抜な「顔」が話題の叡山電鉄「ひえい」や、地域に根ざしたイメージ戦略が注目を集める相模鉄道の取り組みなど鉄道デザインの“いま”を探った。

列車に乗って非日常的な旅を!

鉄道チャンネルMC

柏原 美紀

デザインに統一感持たせ魅力アピール

相鉄ホールディングス株式会社

経営戦略室第三統括担当部長

山田 浩央

体験価値の大切さを伝える

株式会社GKインダストリアルデザイン

代表取締役社長

朝倉 重德

vol.24

温故知新!先人達が作ったレガシー

明治維新以降、この150年以上の間に政治・経済・文化などあらゆる分野が当時の人々の想像もつかないようなスピードで進歩してきた。しかし、現在でも連綿として受け継がれているモノは数多い。例えば、私たちは当たり前のように洋服を着たり、カレーライスやパスタなどの洋食を食べているが、この風習は明治維新後に取り入れられたものであり、大正時代に建築された赤坂迎賓館は現在においても、各国の国王や大統領を迎え、外交活動の華やかな舞台となっている。
また、2021年には幕末から昭和初期にかけて官僚や実業家として活躍し、「日本資本主義の父」と呼ばれた渋沢栄一を主人公とした大河ドラマが放送予定であるなど、近代史が注目を集めている。 そこで、近代から現代に至る歴史や文化などをソフト・ハード面から振り返り、未来にどう展開していくか探る。

食育から世界が見える

学校法人服部学園服部栄養専門学校

理事長・校長

服部 幸應

明治期の最高峰建築を支える技術と人

内閣府迎賓館総務課

営繕専門職

藤原 敦子

今こそ渋沢栄一の理念を学ぶべきとき

國學院大學経済学部

教授

杉山 里枝

vol.23

半島は日本の台所!

三方を海に囲まれた半島は、陸の孤島のイメージがあるが、かつて日本は海上交通網で繋がっており、半島はその玄関口として栄えた歴史がある。漁業や農業が盛んで、日本の食料供給拠点として、食卓に美味しい食材を届ける「半島は日本の台所」。国は23の半島地域を半島振興法の対象とし、産業振興の支援等に取り組んでいる。リモートで働く生活、食や自然の豊かさ、余暇時間、幸福度等の半島地域の暮らしが再評価されている今、半島の魅力に迫る。

失意の心を癒やしてくれた房総の景色

アップアップガールズ(2)

鍛治島 彩

都会暮らしで気付いた「豊かさ」

津軽海峡マグロ女子会

青森側とりまとめ役

島 康子

多様性の価値と広域連携で魅力最大化

東京大学

工学系研究科 未来ビジョン研究センター教授

坂田 一郎

vol.22

仮想空間に広がる新たな可能性!

新型コロナウイルスの感染拡大を契機に、仮想空間を利用したビジネスの可能性が急拡大している。外出自粛で自由に出かけられず、会いたい人に会えない現実の自分に代わり、ネット上につくった好みのキャラクターなどを通じて気軽に交流やエンタメ、スポーツを楽しむスタイルが定着。企業においても、これをビジネスチャンスと捉え活動を活発化させている。中でも任天堂の人気ゲームシリーズ「あつまれ どうぶつの森(あつ森)」は仮想空間上の無人島で動物たちと気ままに過ごす世界観やキャラクターのおしゃれ、インテリアを紹介できる機能が女性層まで取り込み大ヒットした。このように物理的な制約を超えて無限に広がる仮想空間ビジネスの可能性を探る。

私を通して新しい世界を見て!!

バーチャルYouTuber

キズナ アイ

ゲームという仮想空間が集いの場に

IGN JAPAN

編集長

ダニエル・ロブソン

バーチャルはリアルな世界に

東京大学

先端科学技術研究センター教授

稲見 昌彦

vol.21

宇宙ビジネス最前線!世界とどう戦う?

私たちにとって「宇宙」とはどんな存在だろうか?小説や映像などを通じてしかイメージ出来ない遠いものであるように思われがちなのではないだろうか?
しかし、今年6月にアメリカで世界初の民間企業による有人宇宙船の打ち上げが成功し、2022年には大分県で小型衛星を打ち上げる計画を明らかにするなど、宇宙を巡る動きが活発化している。こうした潮流の中、宇宙空間を利用したビジネスも現実味が増している。これまで宇宙産業と言えば、ロケットや人工衛星の開発といった分野ばかりに焦点が当てられていたが、最近では日本でも通信、観光、物流など広範な分野でベンチャーが相次いで立ち上がるなど民間主導のビジネスに注目が集まっている。世界では既に様々な分野で事業化が進められているが、日本は宇宙ビジネスで世界と渡り合うことが出来るのだろうか。その可能性を探る。

普通の人でも宇宙に行ける時代に

タレント

黒田 有彩

「次は、宇宙へ。」

ANAホールディングス株式会社

津田 佳明

宇宙港の日本誘致を実現へ!

宇宙エバンジェリスト

青木 英剛

vol.20

みんなで守ろう!「命の水」

地球は水の惑星と言われているが、この地球上の水は海水などの塩水がほとんどを占めており、淡水は約2.5%しかない。そのうえ、その大半が南極や北極地域にある氷山や地下水で固定されており、人が容易に利用できる河川や湖沼などの淡水の量は地球上に存在する水量のわずか0.008%程度にすぎない。
この限りある水の確保が、今、危機に瀕している。近年の地球温暖化による気候変動の影響により、世界各地で渇水や洪水などの自然災害が頻発し、水の安定的な供給が見込めないからだ。
人が生きていく上で欠かせない「水」を将来にわたって守り続けていくために今、どのような取り組みが行われ、また、何が求められているのだろうか。

水にかかわる方々の思いや声を大切に

2020ミス日本

「水の天使」

中村 真優

実業と結びついた環境保護を

サントリーホールディングス株式会社

山田 健

シロアリの翅を再現し、水問題に挑む

龍谷大学

先端理工学部応用化学課程教授

内田 欣吾

vol.19

離島は日本のサテライト拠点?

6800を超える島々で構成される島国の日本では、その領域、排他的経済水域の保全や、多様な歴史や文化の継承といった様々な重要な役割を担う離島。豊かな海洋資源に囲まれ、その魅力に引かれて定住する流れが生まれつつある。国は有人島のうち沖縄、奄美、小笠原などを除く78地域255島を離島振興法の対象とし、近年では離島と企業をつなぐ「しまっちんぐ」の開催やICT等の新たな技術を離島に導入を推進する「スマートアイランド」などの振興策に取り組んでいる。また、働き方改革などでリモートワークが広がるなか、ワーク・ライフ・バランスを実現する環境を持つ離島の多様な魅力に迫る。

何もない島で育ったからこそ今がある

タレント

千鳥

大悟

特産品のブランディングや商品PRをICTで支援

KDDI株式会社

サステナビリティ推進室長

鳥光健太郎

離島の魅力や課題をかんがえるきっかけに

NPO法人離島経済新聞社

統括編集長

鯨本 あつこ

vol.18

自転車で切り拓く、新たなライフスタイル

近年、全国各地でサイクルツーリズムやシェアサイクルなど自転車を活用した取り組みが活発だが、自転車には観光振興、環境に優しい都市空間の創出、交通渋滞の緩和、健康づくりなど、様々な面からの暮らし向上につながる可能性がある。民間はもとより国も2017年に自転車活用推進法を施行し、5月を自転車月間と定め、18年には自転車活用推進計画を策定するなど自転車の活用推進に積極的に取り組んでいる。自動車社会の見直し機運が高まる中で、自転車をどのように位置づけていくか、各地で議論が活発になっている。

〝神ペダル〟通勤 さわやかな朝を

タレント

稲村 亜美

「聖地20年」交流が育む地域の自信

シクロツーリズムしまなみ

代表理事

山本 優子

プラスの3Kへ自転車環境を一新

東京工業大学

副学長 環境・社会理工学院教授

屋井 鉄雄

vol.17

既存住宅の活性化が日本を救うか

全国で約850万戸と推定される空き家。依然として増加傾向にあるものの、空き家をリノベーションして住んだり、民泊やシェアハウス、イベントスペースなどとして活用したり、地方の既存住宅を利用して都心と地方の二拠点居住を楽しんだりするなど、いろいろと新たなニーズが生まれている。また、街づくりや地域の活性化を進めるうえでも、既存住宅の活性化はカギとなる。住まいとしてのほか、趣味や仕事の場として活かしていくことも考えられる既存住宅の資産としての価値を高めていくには、リノベーションによる大胆な工夫や仕掛けを行うことが有効だ。

リフォームの自由度高める環境を

タレント

ヒロミ

「空き家活用」ニーズの見極め大切

Little Japan

代表取締役

柚木 理雄

住宅に「生活環境を買う」視点を

日本大学経済学部

教授

中川 雅之

vol.16-2

総力戦で挑む防災・減災プロジェクト~いのちとくらしを守る防災減災~

激甚災害が頻発している状況の中、災害から国民の命と暮らしを守るべく、今年1月に国土交通省はその総力を挙げて、抜本的かつ総合的な防災・減災対策を目指す「総力戦で挑む防災・減災プロジェクト~いのちとくらしをまもる防災減災~」を立ち上げた。国土交通大臣を本部長とする「国土交通省防災・減災対策本部」を設置し、防災意識社会の実現に向けた検討を進めるなどプロジェクトを強力かつ総合的に推進していく考えだ。今回は特集として、基本テーマの取りまとめ役を担う4名の幹部に話を聞く。

必要な情報をすべての交通利用者に

国土交通省

国土交通審議官

藤井 直樹

国全体で「防災の主流化」を推進

国土交通省

国土交通審議官

栗田 卓也

vol.16-1

総力戦で挑む防災・減災プロジェクト~いのちとくらしを守る防災減災~

 激甚災害が頻発している状況の中、災害から国民の命と暮らしを守るべく、今年1月に国土交通省はその総力を挙げて、抜本的かつ総合的な防災・減災対策を目指す「総力戦で挑む防災・減災プロジェクト~いのちとくらしをまもる防災減災~」を立ち上げた。国土交通大臣を本部長とする「国土交通省防災・減災対策本部」を設置し、防災意識社会の実現に向けた検討を進めるなどプロジェクトを強力かつ総合的に推進していく考えだ。今回は特集として、基本テーマの取りまとめ役を担う4名の幹部に話を聞く。

垣根を越えた協力で防災・減災

国土交通省

技監

山田 邦博

治水対策とまちづくりの更なる連携へ

国土交通省

国土交通審議官 

由木 文彦

vol.15

狙うは、ナイトタイムエコノミー!

夜の時間帯に観劇、観光などのレジャーを楽しむ「ナイトタイムエコノミー」。訪日外国人客の増加が続く中、「日本の街には、夜間遅くまで楽しめる場所がない」という声が聞かれるようになった。受け入れ側の日本でも、夜を楽しもうとする観光客を受け入れれば、更に消費は拡大するのでは、との狙いから、経済政策としても注目されるようになっている。これまで規制一辺倒だった夜の街に、「楽しんで遊んでもらえるように」という発想が生まれ、新風が吹き始めている。

時間も場所も「選択肢を増やす時代」

「タイムアウト東京」

代表

伏谷 博之

「今ある資産」フルに活用する発想を

B-biz LINK

マネジャー

堀 景

「泊・食・観光」一丸でアピールを

観光庁

長官

田端 浩

vol.14

「道」が変わる!新たなチャレンジ

私たちが日常的に使用している「道路」。近年、AIやIoT等の技術革新が進み、道路の建設やその維持管理にもこうした技術が活かされている。近い将来、道路整備がこれまで以上に進み、また、自動運転車や空飛ぶクルマが現実のものとなれば、既存の道路の位置づけも大きく変わることになるだろう。その時、道路空間をどのように活用していくのか。単なる交通インフラにとどまらず、オープンカフェなどコミュニケーションの場所としても、道路は大きな可能性を秘めているのではないか。

高速道SA・PAはパビリオン!

「日本サぱ協会」

会長

山形 みらい

「道路空間の新しい姿」へ時代が動く

「ソトノバ」

編集長

泉山 塁威

道路から「みち」へ発想の大転換を

筑波大学

名誉教授

石田 東生

vol.13

未来都市が現実に? スマートシティ発進

AIやビッグデータ、次世代送電網(スマートグリッド)技術などを活用し、渋滞解消や省エネなどを目指す先進都市「スマートシティ」。日本では国家戦略特区などの枠組みで導入が進んでおり、今年8月には、約600の自治体や企業、中央省庁、研究機関が参加して先行事例を共有する官民連携協議会も設立された。スマートシティが現実のものとなることで、私たちのくらしはどう変わるのか。

「温かくやわらかい」コミュニティーに

建築家

隈 研吾

「地方都市と高齢者」こそデジタルが必要

アクセンチュア・イノベーションセンター福島

センター長

中村 彰二朗

「データを読み解く力」が未来を開く

東京大学大学院

新領域創成科学研究科教授

出口 敦

vol.12

進む、港湾革命。日本躍進の切り札となるか

AI、IoT、自働化技術を組み合わせた世界最高水準の生産性と良好な労働環境を有する世界初となる「AIターミナル」の実現に向けた取り組みを進めるなど、日本の港湾は世界の最先端を目指している。また、今後も更なる需要が見込まれる物流の分野においても、国際的な競争が激化しており、港湾が大きく変わりつつある。島国ニッポンにおいて、「港湾革命」が国際競争力強化のための切り札となるのか、今後の展望を探る。

「ミナト神戸」に元気な風を

作詞家

松本 隆

「強い港」作りで世界と勝負を

MSC

日本代表

甲斐 督英

ITで引き出す「港のポテンシャル」

慶應義塾大学

環境情報学部教授

神成 淳司

vol.11

「空飛ぶクルマ」もう夢じゃない!

次世代モビリティの柱として注目を集めているのが「空飛ぶクルマ」だ。これまで、アニメや書籍等で未来の乗り物として語られてきたが、近年、国内外の企業が実用化に向けた開発を進めている。国内でも政府が2023年の事業開始を目標に掲げ、企業と自治体も連携して産業化に向けた取り組みを推進するなど、活発な動きを見せている。空飛ぶクルマ社会が実現すると、世の中にどのような変化がもたらされるのかを探る。

Made in Japanが真価を発揮する

株式会社SkyDrive

代表取締役

福澤 知浩

「街」の概念を「空」から変えていく

デロイト トーマツ グループ

シニアマネジャー

谷本 浩隆

福島を日本のキティホークに

東京大学

特任教授

鈴木 真二

vol.10

旅行しない若者たち

2018年、訪日外国人観光客(インバウンド)数はビザ緩和などの効果により3,000万人を突破したが、日本人の海外旅行客(アウトバウンド)数は1,895万人と過去最高を記録したものの、訪日外国人観光客数と比較すると、まだまだ少ないと言える。特に若者の出国者数は人口そのものの減少に伴って、ここ20年で33%減少している。若者たちはなぜ外国へ行かなくなったのだろうか。この問題の背景と解決に向けた方策について探る。

心に「ズキュン」ときた旅先の笑顔

旅作家

とまこ

好きなこと × 旅、接点をみつけよう

ダイヤモンド・ビッグ社「地球の歩き方」事業本部

部長

奥 健

グローバル時代の「入り口」、それが旅

東洋大学国際観光学部

教授

森下 晶美

vol.9

天気予報は「ニッポンの未来予報」!

誰もが気にする天気予報。今、天気予報に熱い視線が注がれている。観測技術の発達や人工知能(AI)、データ分析技術の進化とともに、天気予報をはじめとする気象データの利用が広がる。産業の3分の1が天候に左右されるといわれ、気象データは、幅広い業種に新たな価値を生み出す可能性を持つ。気象データの活用などに向けて気象庁は、気象ビジネス推進コンソーシアムを立ち上げた。気象データからどんな未来が開けるのか。ニッポンの天気の最前線を追う。

「日本の気候変化の真っただ中」を描いた

映画監督

新海 誠

気象+AⅠは「ビジネス未来予報」

株式会社ルグラン

代表取締役共同CEO

泉 浩人

AI技術を活用 天候を私たちの財産に

気象庁

長官

関田 康雄

vol.8

“地下”を攻める! 新たな挑戦

狭い狭いと言われ続けた日本の国土にあって、利用しつくされていないのが地下空間だ。外部から完全に隔離できるという、地球上のほかの空間にはない特長を持つ。これまでは、道路や鉄道など交通網の敷設や、豪雨時に水をためる防災施設などとして使われてきたが、活用法はこれにはとどまらない。香港では地下都市の建設も進んでいるが、日本でも工場などで排出されるCO2の封じ込めや、地下工場の建設など様々なアイデアが実用段階に入っている。いっそうの利用に向けた課題を探る。

「地下10メートルのレタス」で農業革命

伊東電機

会長

伊東 一夫

“水の都 TOKYO”が未来を運ぶ

大林組テクノ事業創成本部 

PPP事業部長

葛西 秀樹

地下に「もう一つの街」出現も

日本大学

理工学部土木工学科特任教授 

岸井 隆幸

vol.7

どうする? 通勤ラッシュ

都市圏の「痛勤」ラッシュは、ビジネスパーソンたちを悩ませ続けてきた。充実した鉄道網、複雑なダイヤのもと効率的に運用されている都市鉄道だが、通勤時間帯の混み具合は依然として大きな社会問題であり続けている。人口減少が見込まれる中、輸送力増強に向けた大幅投資も簡単ではない。最近は、訪日客の増加や、「働き方改革」による通勤時間帯の多様化などの変化もみられる。また東京の一極集中はさらに進んでおり、解決の道筋は見えてこない。鉄道側の対応に加え、個人の生活スタイルの見直し、都心部での住宅立地など、各方面の幅広い取り組みが求められそうだ。「ラッシュ」の今を識者に聞く。

「働き方」を 自分でデザインする時代

事業構想大学院大学

学長

田中 里沙

「サービス業」への意識改革を

交通評論家

佐藤 信之

快適な職場環境づくりが通勤を変える

国土交通省

官房長

藤井 直樹

vol.6

激甚化する自然災害にいかに向き合うか。

2018年は7月豪雨災害や台風21号など、様々な大規模自然災害に見舞われた。気候変動の影響等により、今後も大規模な自然災害の発生が想定される。ネットメディアやSNSなどが急速に普及する現代社会においても、まだ住民一人一人に必要な災害情報が届いているとは言いがたいく、逃げ遅れが問題となった。課題解決に向け、官民一体となり、マスメディアもネットメディアも垣根を越えた取組が今、始動している。

実行を促す災害情報のあり方

NHK放送文化研究所メディア研究部

上級研究員

入江 さやか

正解なき防災と向き合う

静岡大学防災総合センター

教授

牛山 素行

水害から人命を守る情報発信

国土交通省 水管理・国土保全局

河川情報企画室長

島本 和仁

vol.5

"データ大流通時代"、オープンデータは起爆剤となるか?

官公庁が保有する気象や地理空間データなどのビッグデータをオープン化する動きがある。こうした動きは、新たなビジネスの創出や人々のくらしの快適性や経済活動、社会活動を飛躍的に向上させる起爆剤となるか。自動運転、MaaS、建設分野のIT化、物流革命などへの活用等、オープンデータの促進が社会、経済、産業にもたらすインパクトやビジネスチャンスについて識者に聞く。

登山から始まった官民データ連携

株式会社ヤマレコ

代表取締役

的場 一峰

地域政策を支援する地理情報

東京大学空間情報科学研究センター

特任講師

瀬戸 寿一

行政が打ち出すオープン化の意思

国土交通審議官

由木 文彦

vol.4

公共インフラは、財政圧迫要因か? 新たな社会資産か?

高度成長期に大量に建設された道路、橋梁、トンネル、ダム、堤防、上下水道などのインフラの更新期が迫っている。今後、老朽インフラの維持管理更新費は増加すると見込まれており、現状の予算水準では、新規投資が一切できなくなる将来も遠くない。他方、空港にはじまり、上下水道、高速道路とコンセッション方式による民営化が拡大している。今後、必要な維持管理費をまかないつつ、必要な投資を行っていくためには、どうしたらよいか。受益者負担、有料化、民営化、インフラ集約化など、今後の方策を識者に聞く。

人づくりから考えるインフラマネジメント

立命館アジア太平洋大学(APU)

学長

出口 治明

社会課題とエンタメのシナジーから

株式会社ディー・エヌ・エー

代表取締役会長

南場 智子

インフラは社会のありようと連動する

国土交通省

技監

菊地 身智雄

vol.3

自動運転時代、移動はどう定義されるのか?

これまでは、自家用車での移動、認可された事業者が拠点間を低コストで大量の旅客を運ぶ公共交通による移動は、区別されてきた。しかし、カーシェアが進み、レベル5の完全自動運転が当たり前になった時には、移動の概念は、どのように変わるのだろうか。運転手の技術に頼る必要がなくなり、二種免許はいらなくなるだろうか。個人が自動車を所有する時代から、スケールメリットを有する企業がプラットフォーマーとなり、モビリティサービスを提供する時代になるだろうか。

移動時間の意味が変わる

デザイナー

原 研哉

自動運転を真のイノベーションに

東京大学生産技術研究所

教授

大口 敬

全ての人に移動の自由を

トヨタ自動車 コネクティッドカンパニー

Executive Vice President

山本 圭司

vol.2

シェアリングは、経済成長の切り札か?

民泊、カーシェア、空き駐車場時間貸し、等、スマートフォンやインターネットのマッチングサービスの進展でシェアリング経済が進展している。カーシェアで車を所有する必要がなくなり、消費者の保有・利用コストは大幅に低下する。駐車場を使わない時間をタイムシェアできれば、収益改善に役立つし、都心の駐車場スペースは劇的に不要になるかもしれない。このようにシェア経済は、総資産回転率を高め、いままで無駄になっていたものから、付加価値を生む「打ち出の小槌」となり得る。他方、モノの生産と消費を通じた経済成長を抑制する可能性もはらむ。我々は、シェアリングビジネスにどう向き合っていくべきなのか。

GDPで測れない新しい経済の付加価値

慶應義塾大学大学院

教授

中村 伊知哉

乗り合いとAIが拓く次なるステージ

株式会社未来シェア

社長

松原 仁

変容するシェアの概念とルールメイキング

国土交通審議官

藤田 耕三

vol.1

テクノロジーは過疎を救うのか?

東京一極集中と過疎問題。地方都市が消滅するとも言われる。他方、自動運転車が過疎地域の人々を運ぶ足となり、ECで何でも注文でき、無人ドローンが荷物を運ぶ。5G普及で遠隔地勤務も容易になり、様々な働き方が生まれる。再生エネルギーにとって代わり、大量生産の優位性が薄れ、非中央集約型の分散型経済に。Society5.0において本当に地方は消滅するのか、逆に地方へ人口が回帰する、そんな可能性はないか。テクノロジーの可能性から、「過疎」を再定義していく。

離島マニアが発想する島国モデル

株式会社かもめや

代表取締役社長

小野 正人

ロボットが隣人になる社会

ロボット工学者

大阪大学教授

石黒 浩

過疎の定義を変えていく行政イノベーション

国土交通事務次官

森 昌文

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