トリ・アングル INTERVIEW

俯瞰して、様々なアングルから社会テーマを考えるインタビューシリーズ

vol.33

輝け!水の中のスペシャリスト

海に潜り、人命救助や捜査活動を担う海上保安庁の潜水士。彼らをモデルにしたテレビドラマ『DCU』には、水中という過酷な環境でさまざまな試練や困難に立ち向かう潜水士たちの姿があります。潜水士を描くこと、そして潜水士を演じることの裏側にはどんな挑戦があるのか―舞台となる海上保安庁の業務とともに紹介します。

Angle B

後編

すべては良いドラマをつくるために

公開日:2022/2/8

俳優

阿部 寛、横浜 流星

誰も見たことのないドラマづくりに挑んでいるお二人。現場ではどのような思いで撮影に臨んでいるのでしょうか。バディとなる互いについてや、俳優陣・スタッフがひとつのチームとなって成し遂げるドラマづくりの醍醐味、ドラマへの向き合い方など、ドラマにかける思いを聞きました。

今回演じられる「潜水士」という仕事にはどんなイメージを持っていましたか?

阿部:過酷なイメージがありました。人が行かない、行けないようなところに行って、救助などにあたらなくてはならない勇敢な人たちだと思います。

横浜:過酷なトレーニングを経て、忍耐力を兼ね備えている方たちですよね。僕らが海や水辺で何も考えずに楽しく遊んで過ごせているのも、その方々のおかげだと思います。今回、DCUをやることになって、僕らが知らないところでたくさん動いていらっしゃることを知って、改めて感謝しなければいけないな、と感じています。

撮影現場で、俳優チームの雰囲気づくりをしようと意識されたりしますか。

阿部:今回のドラマでは、水中の訓練期間も何ヶ月も前からあったので、初日からチームの雰囲気が出来上がっていた。撮影には、緊張感が必要ですけれど、一緒にごはんを食べたりとかお互いのウェットスーツや機材の装着を助け合ったりして和やかにしています。そういう中でどんどん空気感も良くなっているんじゃないかな、と思います。

横浜:やっぱりチームづくりにしても、阿部さんの存在感っていうのがすごく良い影響を与えてくれているように思います。誰よりも作品や役やシーンについて考えているからこそ、みんながついていこうと思える。現場に必要な緊張感というのも、阿部さんがつくりあげてくださっているので、そこにみんながついていくっていう感じですね。

ドラマは大勢が一つのチームとなってつくりあげますが、その醍醐味を教えてください。阿部さんは中でもチームリーダーという役割だと思いますが、どんな風に現場をまとめられていますか。

阿部:いや、もうみんながそれぞれの役をちゃんと掴んで、常に現場を盛り上げてやってくださっているので、僕はそこに参加させてもらっているだけです。今回は水中の撮影とかいろいろ難しいものがたくさんあるので、何とかそれぞれのシーンに食らい付いてやらせてもらっているという感じです。俳優だけでなく、スタッフも含めて体力的にも大変なので、やっぱり集中力がとぎれてしまうのが一番怖い。緊張感は役者にとって辛いことだったりしますけれど、それがあるからこそ、乗り越えた時に何十倍にもなって喜びだったりいろいろなものになって返ってくる。それはスタッフの方もそうだと思うんです。みんなが「良いドラマをつくりたい」と思って参加している。役者たちはその気持ちを受けて表に出していく人たちなので、それぞれの役回りをもって、そして楽しくやる、そこはずっと大事に思ってやっています。

横浜:自分に任されたことに全力で取り組むっていうことが、まず一番の優先事項です。それが、みんなで同じ方向に向かって、良い作品をつくりあげていくことにつながるんだと思っています。みんながひとつになっているな、っていうのは現場にいると感じてくるので、やっていて気持ちいいですし、心が熱くなりますね。

撮影現場は団体競技のようですよね。自分自身の性格は、スポーツでいうとチーム戦向き、個人戦向き、どちらだと思いますか?

横浜:僕はずっと空手をやってきて、何をするにも自分ひとりなので、個人戦向きなのかなと思います。それはやっぱり孤独でしたし、自分との戦いでした。でもそこで得た集中力だったり忍耐力っていうものが、今こうしてこの仕事をやらせてもらっていく中で、すごく役立っている。それこそ自分の今の性格は、空手で培ったものでほとんどできているんだと思います。今回も水中の撮影は大変ですけれど、こういう過酷なトレーニングにも耐えられるというか、みんなで一緒に頑張っていこう、って思えるので、すごくやっていてよかったな、と思います。個人と団体でまったく違うのは、仲間がいるっていうこと。みんなで喜んだり、悲しんだり、怒りみたいなものすべての感情をみんなで分け合える。そこはとてもいいなって思います。

阿部:僕も性格的なところで言うと、団体向きじゃないんですけれどね。だからこそかな、みんながひとつの方向を向いてやる姿を美しく感じるし、それはとても素晴らしいことだと感じます。役者・スタッフ含めて100人近い人たちが良い作品を視聴者に見せたいと挑んで頑張り、それが実際に放送された時に受け入れられた喜びをみんなで共有できる。それが何よりチームでひとつのものを成し遂げることの醍醐味ですね。

阿部さんと横浜さんは歳も離れていますが、阿部さんは横浜さんから、横浜さんは阿部さんからどんなことを吸収したいと思っていますか。

阿部:流星君は若いけれど、すでにいろいろな今の現場を経験しているので、彼に根掘り葉掘り聞いて調査しています(笑)。やっぱり自分の年齢くらいの人に聞いても出てこないことがたくさんあって、流星くんが持っている感性でそのことについて語ってくれるっていうのは、僕なんかにしたら宝のようなものです。彼は現場にいて常にエネルギーが出ているし、役や場面についてどんな風に考えてきたかを肌で感じることができるんですよ。そういうものを僕自身どんどん吸収させてもらうのはとっても楽しい時間ですね。今25歳の彼が、どんな風に作品をみていて、どうこの世界でやっていき、また別の才能も開花させるかもしれないけど、ここから先どうなっていくんだろうな、ってすごく楽しみに思っています。

横浜:阿部さんからは、もうすべてを吸収したいです。現場でのあり方とか経験も含めてすべてにおいて学ぶことがたくさんある。まだまだ撮影期間もあるので、阿部さんの姿を見て、感じて、一緒にお芝居をさせてもらう中で、瀬能と共にその時に感じたことをすべて吸収したいなと思っています。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

横浜:今回のドラマは、水中の捜査に特化した潜水士というミステリー要素が強い作品となっています。そうした面白さ、壮大なスケール感を楽しんでいただけたらな、と思っています。

阿部:今まで誰も見たことのないドラマをお見せしたい、チーム一丸となって取り組んでいます。今回の撮影チームのみんなには内に持った優しさがあって、今までにない良い雰囲気で日々撮影しています。アクションとかいろいろ大変な部分はありますけれど、チームの良さはきっと画面にも力となって表れるものだと思うので、海外の制作会社も入り大きなスケール感のあるドラマ『DCU』を楽しみにしていてください。

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