トリ・アングル INTERVIEW

俯瞰して、様々なアングルから社会テーマを考えるインタビューシリーズ

vol.49

日本を支える豊かな大地!共に北海道の未来を創る!

雄大な自然に絶品グルメと、国内外のツーリストから高い人気を誇る北海道。観光立国・日本を牽引する存在といえますが、北海道の日本での役割はこれだけにとどまりません。たとえば、食料の安定的な供給を確保する食料安全保障、2050年を目標としたカーボンニュートラルなど、実現のカギは北海道にあるのです!北海道の資源や特性を活かして我が国の課題解決を図るため、国は1951年から「北海道総合開発計画」を策定し、さまざまな取組を進めてきました。令和6年度から新たに「第9期北海道総合開発計画」がスタートします。豊かな資源に恵まれた北海道が、私たちの暮らしにどう関わっているのか、この機会にぜひチェックしてみてください。

Angle A

後編

食、観光…魅力いっぱいの北海道を、次世代につなぐ

公開日:2024/3/6

タレント・俳優

森崎 博之

ご自身を「北海道農業の応援団長」と称する森崎博之さんですが、北海道の魅力は農業や農作物だけにとどまりません。食、風景、文化など、多彩な側面が人々を魅了し、長年にわたる観光地としての人気にもつながっています。北海道の真ん中に位置する東川町ひがしかわちょうで生まれ育ち、地域に根ざした芸能活動に幅広く取り組まれている森崎さんに、北海道の持つ様々な魅力についてうかがいました。

所属事務所の(株)クリエイティブオフィスキューは、国土交通省北海道開発局と「北海道の魅力発信に向けた包括連携協定」を締結されています。森崎様が携わられた取組についてお話をお聞かせください。

 まず挙げたいのは、アイヌをテーマとしたナショナルセンター『ウポポイ(民族共生象徴空間)』のオフィシャルサポーターを務めさせていただいたことです。北海道知事と並んでオープニングセレモニーに出席させていただいたり、テープカットに参加させていただいたりと、非常に貴重な経験をさせていただきました。
 北海道は、他の地域と比べると歴史が浅いのですが、先住民族であるアイヌの方々から受け継がれてきた文化があります。そして、ウポポイは北海道の文化や歴史を伝える施設です。その広告塔としての役割を担えたのは、非常に光栄なことだと思っています。うちの息子が修学旅行でウポポイに行った時には「TEAM NACS」の大きなタペストリーが飾られていたそうで、父親として誇らしい気持ちになりました。

2020年 ウポポイオフィシャルサポーター就任時のポスター

2022年には、北海道動画コンテストの審査員も務められたとか。

 国土交通省北海道開発局の開局70年記念事業の一環で実施された『撮ってもいいね!北海道 動画コンテスト』の審査員を務めさせていただきました。どの動画もすばらしくて、大いに感銘を受けましたね。順位なんかつけたくなくて、審査するのが大変でした。
 個人的に感じたのは「北海道在住の大人よりも、子どもたちや道外の方のほうが、北海道の良さを見つけてくれる」ということです。たとえば、子どもたちによる酪農のすばらしさを捉えた動画とか、道外の方による北海道の景色の動画とか、北海道の大人たちには当たり前の風景になってしまっていて、その魅力に気付かないのかもしれないと、少しもったいない気がしました。
 僕が思うに、そもそも北海道の人ってちょっと遠慮がちというか、「うちの町には何もないよ」と言ってしまいがちなんですよね。でも、「何もない」と言っていたら、本当に何もなくなってしまう。そういう言葉を聞いて育った子どもたちは、「自分たちの町には何もないのか。じゃあ、大きくなったら都会に行こう」と思ってしまいます。未来を担う力がどんどん外に出て行ってしまうわけです。
 だからもう、「何もない」というのは禁句にしたいですね。自分たちの町の魅力を大人が子どもたちにしっかり伝えていくべきだと思います。

そんな森崎様が感じる、北海道の観光面での魅力をお教えください。

 そうですね。たまに「北海道旅行に行きたい。日中は旭山動物園に行って、夜は函館の夜景が見たい」なんておっしゃる方がいらっしゃるんですが、いやいや無理ですよ、と(笑)。北海道は非常に広くて、エリアごとに見どころがあります。「今日は積丹しゃこたんを回ろう」というだけでも1日がかり。1日2日ではとても回りきれない、それが一番の魅力ではないでしょうか。
 旅行プランもいくらでも立てられます。車やバイクで回っても良し、電車やバスを乗り継いでも良し、温泉地を巡るも良し、おいしいものを食べて回るのも良し。いつ来ても違った面白さに出会える観光地ですから、ぜひ、何度でも足を運んでほしいと思います。
 個人的には、飛行機から見る北海道というのもおすすめしたいですね。北海道の畑って、季節によって彩りが大きく変わるんです。冬の真っ白な畑も、夏の緑の畑もいいものですが、春秋の畑もおすすめです。秋になると多くの農作物の収穫が終わって、茶色い畑が多くなりますが、中には秋まき小麦が芽吹いている畑もあって、茶色と緑のパッチワークのような景色が広がるんです。田植えの時期のキラキラした田んぼも、まるで水鏡のようでとてもきれいなんですよ。

北海道観光では「食」も外せません。「ごはんソムリエ」を取得されている森崎様から見て、北海道の食の特長はどんなところにありますか。

 海の幸も山の幸も豊富にある北海道ですが、「北海道の食」というのは、既に1つのブランドになっていると思うんです。「北海道産の魚介」「北海道産の牛乳」「北海道産のトウモロコシ」「北海道産のピーマン」など、北海道産というだけで「なんだかおいしそう」と思わせるくらいのブランド力がある。僕たち大人としては、これを未来につなげていくことが大事かなと思っています。僕の場合は、北海道の子どもたちに「北海道で農業をやりたい」と言ってもらうために、北海道農業の良さを子どもたちにしっかり伝えていきたいと考えています。

森崎様が出演されている『あぐり王国北海道NEXT』は、そういう役割を果たしているテレビ番組ですよね。番組に出演した子どもたち「あぐりっこ隊」の中からは、農業の道に進んだ子もいるとか。

 そうなんです! 2009年に、トマトが苦手だという子どもたちと平取町びらとりちょうのブランドトマト農家にうかがいました。そのトマトのおいしさを紹介しているうちに、子どもたちが「そんなにおいしいなら食べてみたい」と言い出して、実際に一口かじったら「うそ、これがトマト?」「今まで思ってたトマトと全然違う!」と、もう大騒ぎ。その中のひとり、Yくんという子が、これをきっかけにトマト農業に興味を持つようになったんです。
 彼はその後、農業高校から酪農学園大学に進学し、卒業後は平取町の農協に就職。今では平取町のブランドトマトからつくるジュース工場の責任者としても活躍しています。この番組をやっていて良かったと、心から思える出来事のひとつです。

今後、「農業タレント」として、森崎様はどのようなことに挑戦したいとお考えですか。

 現在、日本の食料自給率は38%(カロリーベース/2022年度 農林水産省発表)です。実は、1998年にはすでに40%まで下がっていて、そこから20年以上、ほぼ横ばいの状況が続いています。国もいろいろと施策を講じてくれていますが、なかなか伸びてこないというのが現状です。
 僕としては、国内自給率を上げるためには、とにかく消費者に国内産の農作物に目を向けていただくことが大事だと思っています。例えば、スーパーに並んでいる野菜の中で、国産のものはちょっと値段がお高いわけですが、「国産は高い」ではなく、「これが適正価格なんだ、それだけの価値があるんだ」というふうに伝えていきたい。生産者の方々が、安心・安全・新鮮なものを消費者の方々にお届けするために、どれだけ努力を重ねていらっしゃるか、その姿を間近に見てきた僕だからこそ、しっかりと世の中に広めていかなくてはならないと感じています。
 僕は「北海道農業の応援団長」を自称していますが、最近では他県の講演会に招いていただく機会も増えてきました。ゆくゆくは北海道だけではなく、日本の農業応援団長として、生産者の方々にエールと感謝を送っていきたい。みなさんもぜひ、応援団に参加してください。日本の食や農業を、みんなで守っていきましょう!

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