トリ・アングル INTERVIEW

俯瞰して、様々なアングルから社会テーマを考えるインタビューシリーズ

vol.33

輝け!水の中のスペシャリスト

海に潜り、人命救助や捜査活動を担う海上保安庁の潜水士。彼らをモデルにしたテレビドラマ『DCU』には、水中という過酷な環境でさまざまな試練や困難に立ち向かう潜水士たちの姿があります。潜水士を描くこと、そして潜水士を演じることの裏側にはどんな挑戦があるのか―舞台となる海上保安庁の業務とともに紹介します。

Angle B

前編

チーム一丸となって撮影中!

公開日:2022/2/1

俳優

阿部 寛、横浜 流星

 “水中未解決事件の解明”をミッションとする海上保安庁に新設された架空の組織「DCU(Deep Crime Unit)」を舞台に、水中捜査に特化したエキスパート潜水士たちが事件解決に挑むドラマ『DCU』が2022年1月に放送されます。舞台が“水中”というハードな環境の中、ダイバー役の俳優陣は、どのような思いで撮影に挑んでいるのでしょうか。真冬の寒さ厳しい中で撮影に臨んでいる主演の阿部寛さんと、ドラマの中で阿部さんとバディを組む横浜流星さんに撮影中のエピソードやドラマへの意気込みを聞きました。

今回のドラマは全く新しいジャンルだと聞いていますが、どんなドラマなんでしょうか。ご自身の役柄とともに教えてください。

阿部:世界初となる“ウォーターミステリー”と聞いてます。つまり水の中に隠された犯罪の真相を暴いていく、われわれ「DCU」は特殊部隊なんですけれども、司法警察権を持っていて、日本のありとあらゆる水中、海や河川だけではなく、ダムや湖などのさまざまな水中に潜って、そこに残された事件の痕跡を探し出し、事件を解決していきます。僕の役どころの新名正義(にいなまさよし)はDCUの隊長ですが、なかなか問題がある人物で、常に“俺様”的な発言を繰り返すので、周りから誤解されている人です。

横浜:僕は過去に阿部さん演じる新名に助けられて、新名の背中を追って、彼に憧れや尊敬の念を持っている青年・瀬能陽生(せのうはるき)を演じさせていただいています。DCUの中でも、新名に次いでダイバーの能力が高い人物です。

横浜さんは阿部さんと初共演ということですが、阿部さんと実際に同じ現場に立っていかがですか。

横浜:阿部さんと現場に入ると、いつも背筋が伸びる感じになります。瀬能が新名に抱いている気持ちとまさに同じ気持ちです。阿部さんは、この人についていきたいと思わせてくれる方なので、毎回阿部さんとご一緒するシーンは熱く燃えるところがあります。

阿部:そのイメージを壊さないように今後も頑張ります(笑)。僕からすると流星くんは、本当にキレがいい。動きもそうですけれど、身体能力だけじゃなくセリフにもキレがある。この取材の時点ではそれほどまだ多くのシーンを撮ってはいないんですけれど、チームの中でバディを組んでいて信頼できる相手だと感じています。

撮影で一番大変なことはどんなことですか。

横浜:今、冬なので、寒いんですけど、この前も一日中海にいなければいけなくて、本当に大変でした。しかも実は僕、過去にサーファーの役をやった時にサーフィンの練習をしていて波にのまれ溺れかけてしまったことがあって、そこから水に対してちょっと抵抗感があったんです。だからオファーが来た時は、僕にできるのかなと思ったんですが、ただそれより何より、阿部さんとご一緒できるということの方が、僕にとっては大きかった。練習期間はあったので、水に関するところは何とか克服して役にあたっています。

阿部:同じく寒さに耐えながらの撮影ですね。まだまだ撮影は続くので、これからが思いやられるところです。海上保安庁で撮影した日もすごく寒かったですね。ただ海上保安庁の皆さんには本当によく協力していただいています。ヘリコプターの中で撮影したり、本物の巡視船の中で撮影させていただいたり。たくさんの海上保安庁の方々にも収録に参加していただいたりしていて感謝しています。

撮影現場はどんな雰囲気ですか。

阿部:DCUはみんなの空気感が本当に良くて、ハードな撮影をしている中でも現場にはいつも笑いがあります。一人ひとりがすごく優しいです。今回特殊な酸素ボンベを背負っているんですけれど、それを背負う時にも、チームのみんなが手助けしてあげたりとか、他の装備もつけてあげたりしていて、全員が雰囲気を盛り上げてくれているな、と感じています。

横浜:DCUのメンバーに土佐兄弟の有輝さんがいらっしゃるんですが、よく現場を盛り上げてくださっています。だからよく笑いが起きるんですけれど、僕は阿部さんを男らしい方だと思っていて、実際も本当にそうなんですけれど、だから勝手に、阿部さんはあんまり笑わない方だというイメージを持っていたんです。なのでこういう時、阿部さんが笑っている姿を見ただけで阿部さんの素顔を見れた気がして嬉しくなったりしています。

阿部:そんな風に言われると、僕も嬉しいです(笑)。

ご自身の役の性格をどう捉えていますか。また役と自分との共通点はありますか?

阿部:新名はミステリアスな男なんですよね。強引に捜査していったりするんですけれども、その根底にあるものっていうのがまだ描かれていないので、自分でもどういう人間なのか今後が非常に楽しみにしています。これまでの中で言うと役と自分との共通点は…ないな。たまに「何考えてるのかわからない」って言われたりすることがあるので、その点くらいですかね。

横浜:瀬能は、実直で熱い。それゆえにチームにいい影響も悪い影響も与える、とても人間らしい男なので、もう真っ直ぐに瀬能として生きていきたいなと思っています。僕自身は、瀬能ほど全面に熱さは出していないです。熱はあるんだけれど、彼ほど前のめりではないかな。瀬能はとてもピュアなんだな、と思っています。

ドラマの一推しポイントはどこでしょうか。

阿部:水の中のシーンもそうですけど、彼らが事件をどう解決していくか、そのチーム一丸となって難事件に挑む姿を楽しんで頂きたい。僕は30年くらい前にスキューバダイビングの免許を取りましたけれど、初めてこのドラマの内容を聞いた時に、水中が舞台というのはミステリアスで面白そうだなと思いました。ただ撮影は想定以上に大変でしたが(笑)。

横浜:見どころはたくさんありますが、やっぱり水中シーンははずせないです。僕は泳げるんですけれど、息継ぎがちゃんとできないので、学生時代は息継ぎをしないで25m泳いじゃったり、正直言って泳ぐのはあまり得意じゃないんです。だからダイビングを教わる時は大変なこともありましたけれど、先生がすごく優しい方で、水に対する恐怖心があった僕に、「水の中ってこんなに楽しいところなんだよ」って教えてくれました。海洋実習では水の楽しさと、それと同時に水の怖さも共に知ることができたので、この両方の感情を大事にしつつ役に臨んでいます。
※後編は2月8日(火)公開予定です。

あべ・ひろし 1964年6月22日生まれ。神奈川県出身。大学時代にメンズモデルとして活躍し、卒業後『はいからさんが通る』で映画デビューし、さらに舞台、テレビドラマと活躍の場を広げる。主な出演作は『TRICK』『ドラゴン桜』『新参者』『チーム・バチスタの栄光』『テルマエ・ロマエ』など。

よこはま・りゅうせい 1996年9月16日生まれ、神奈川県出身。2011年俳優デビュー。近年の出演作に『きみの瞳が問いかけている』や『着飾る恋には理由があって』に出演。1月13日全世界同時配信Netflixドラマ『新聞記者』、2月11日公開主演映画『嘘喰い』、映画『流浪の月』、8月26日主演映画『アキラとあきら』の出演が控えている。
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