「地籍」とは、土地の所有者、地番（土地ごとに割り振られた番号）、地目（土地の用途による区分）、境界の位置、面積など、いわば「土地の戸籍」のこと。登記所で調べればわかる情報だと思われがちだが、実は、登記所の地図の半分近くは明治時代に作成されたもので、現在の状況と違っているケースが少なくない。なかには10ｍ以上ずれている地域もあり、今後の国土計画の上でも見過ごせない問題だ。そこで、この地籍を調べ直していくのが「地籍調査」だ。地籍調査の成果によって、登記所の情報が正確なものへと更新されるほか、売買時や固定資産税におけるトラブル防止はもちろん、大規模災害の際には境界が明確になっているのでスムーズに復旧作業に着手できる。
従来は測量が難しかった山村部なども、近年では航空機やドローンを用いたレーザースキャナによる測量が可能になった。土地の権利関係が明確になれば、都市開発や道路の整備なども進めやすくなる。地籍調査の推進は、より住みやすい環境を実現してくれるはずだ。