SFアニメや漫画で見た月面基地が、国際プロジェクト「アルテミス計画」により、2030年代には現実のものになろうとしている。これに参加している日本も「宇宙開発利用加速化戦略プログラム（スターダストプログラム）」を開始し、月面インフラや探査技術などの国内研究開発をバックアップ。その一環として、国土交通省と文部科学省が連携して取り組んでいるのが「宇宙建設革新プロジェクト（宇宙無人建設革新技術開発）」だ。
月面には気体としての酸素が無く、地質や地盤なども十分に分かっていないため、人間が作業するには非常にリスクが高い。そこで、災害対応や橋、トンネルの建設などで培われた日本の無人化・ICT施工（※）技術を月面開発に活用。さらなる技術開発を進めるとともに、ゆくゆくは地上の建設事業にも反映させていこうというのが、このプロジェクトの主な目的だ。他にも月面の素材を活用した建設材料、現地で膨らませて使用する居住モジュールなど、産学官が一体となってさまざまな実験や開発を進めている。月面で磨かれた技術が労働力不足、安全性や効率の向上といった地上の課題を解決する日も遠くないに違いない。
※情報通信技術を活用して建設現場の効率化や精度向上を目指す工事方法。