こんなところに国交省

知る人ぞ知る取組からちょっと意外なお仕事まで

file 003

小笠原総合事務所

東京から船便で24時間!

11名の職員が貴重な生態系を守り、育む

discovery Repo

discovery Repo

東京から約1,000km南下した太平洋の大海原に浮かぶ、大小30余りの離島群が小笠原諸島です。2011年6月には島独自の生態系の価値が認められ、ユネスコ世界自然遺産に登録されました。行政上は東京都に属していますが、空港は存在せず、アクセスは東京・竹芝桟橋と父島ちちじまを6日に1便運航する定期便に限られます。今回はそんな父島を拠点に11名で出入国管理、検疫、植物防疫、国有林野管理などの業務に取り組む「小笠原総合事務所」にフォーカスします。

私たちが紹介します

小笠原総合事務所のプロフィール紹介!

小笠原諸島は太平洋戦争末期に米軍の占領下におかれ、終戦後も沖縄・奄美とともに米国施政権下にありました。1968年6月の日本への復帰にともない、現地における国の総合行政機関として設置されたのが小笠原総合事務所です。現在は、国土交通省の特別の機関として設置され、寄港する船舶の乗員・乗客の出入国審査や検疫業務、本土では発生していない害虫が移動しないように取締る植物防疫業務、特異な森林生態系を保護するための国有林野の管理業務などの役割を担っています。現在11名の職員が在籍し、マルチタスクに活躍しています。 ちなみに、離島群のうち一般住民が暮らしているのは父島と母島ははじまのみで、小笠原総合事務所があるのは父島です。移動手段は東京・竹芝桟橋から6日に1便運航する「おがさわら丸」、所要時間はなんと片道24時間です。父島からさらに南にある母島への出張や無人島での調査などもあり、職員は酔い止め薬が必需品です!

現在、小笠原諸島には父島、母島あわせて約2,900人の人々が暮らしています(2023年12月)。父島・母島間をつなぐのは定期船「ははじま丸」で、所要時間は片道約2時間。(地図の出典:東京都小笠原支庁「管内概要」)

現在、小笠原諸島には父島、母島あわせて約2,900人の人々が暮らしています(2023年12月)。父島・母島間をつなぐのは定期船「ははじま丸」で、所要時間は片道約2時間。(地図の出典:東京都小笠原支庁「管内概要」)

害虫、伝染病、不法入国を水際で防ぐ。

入国審査官、検疫官など各分野のスペシャリストが集結!
小笠原総合事務所には、出入国管理、検疫、植物防疫、国有林野管理などを担う人材が各省庁から勢揃いしています。各分野のスペシャリストたちにより、小笠原諸島はもちろん、日本の安全や自然環境が守られているのです。

小笠原諸島には、農業に重大な被害を与えるアリモドキゾウムシ、イモゾウムシ、アフリカマイマイという害虫が生息しています。小笠原総合事務所ではこれらの害虫のまん延を防止するため、害虫とその寄生植物の本土への移動を規制(禁止)しています。この取締りのため、農林水産大臣から「植物防疫官の事務処理にあたる者」の指定を受けた2名の職員が、本土と往来する船舶に対して植物防疫業務を行っています。

出入国管理等に関する業務は、出入国在留管理庁長官から入国審査官などの事務処理の指定を受けた2名の職員が担当します。入国審査官は審査対象となる内・外航船の入・出港時に船舶の内部、あるいは小笠原総合事務所内で、日本人や外国人の乗員・乗客の出入(帰)国審査を行います。この際、要注意船舶の乗員や密航のおそれのある者については、上陸防止の措置等を行える体制をとっています。

「東京検疫所小笠原出張所」として、小笠原総合事務所の所長が出張所長を兼任しています。検疫官の指定を受けた職員2名が、外国からの入国者がデング熱、エボラ出血熱などの検疫感染症に感染していないか検査を行います。近年、世界的にデング熱感染者が増加する中、父島の二見港に入港する船舶は、デング熱の検疫感染症汚染地域であるハワイ、グアム、北マリアナ諸島(サイパン等)等の地域を経由したものが多く、その責任は重大です。

小笠原諸島では2007年4月、固有の動植物が数多く生息・生育している特異な森林生態系を保護するため、国有林野の大部分が「小笠原諸島森林生態系保護地域」に設定されました。さらに2011年6月には、その特異な生態系が評価され、ユネスコ世界自然遺産に登録されました。世界遺産区域には国有林野が多く含まれているため、国有林野と民有地との境界の再確認及び確定作業を進めるなど森林保全管理を行っています。

美しく、楽しい!小笠原諸島は貴重な自然の宝庫

小笠原総合事務所の職員たちが守っている小笠原諸島をご紹介します!

日本一早く海開きが行われる父島。毎年1月1日に海開きの催しや神事が行われ、海に入った人には「初泳ぎ証明書」が発行されます。そんな小笠原の海は、ダイバーなら一度は潜ってみたいといわれています。嫁島よめじまのマグロ穴や母島の四本岩などでは巨大イソマグロの群れに囲まれることも。釣り愛好家なら磯でイシガキダイを狙ったり、釣舟でカンパチやカッポレ(アジ科の魚)を狙ったりする釣りの醍醐味が味わえます。

2011年に世界自然遺産に登録された小笠原諸島。海で隔てられた環境で育った小笠原の生きものは、暮らす環境の違いによってさまざまな形や色へ変化する「適応拡散」により、多様な種類に進化していきました。父島や兄島あにじまでは「乾性低木林かんせいていぼくりん」と呼ばれる背の低い林が広がり、乾燥した気候に合わせて、草が樹木に変化したり、植物の雌雄が分かれたりと小笠原ならではの進化を遂げています(写真は、小笠原諸島にのみ生息するアカガシラカラスバト)。

小笠原はホエールウォッチングやドルフィンスイムのメッカです。2~4月に見られるザトウクジラは、「ブリーチ」と呼ばれるジャンプや胸びれ・尾びれで海面を叩くなど、その迫力に心揺さぶられます。ミナミハンドウイルカは人なつこい性格で、フィーリングが合えば一緒に泳いでくれるかもしれません。また、小笠原諸島は日本で最大のアオウミガメの繁殖地。6~7月頃には産卵の様子が観察できます。

島の気候を反映した魅惑の小笠原グルメも魅力のひとつ。芳香が強くジューシーなパッションフルーツやフルーツ感覚で楽しめる「島トマト」、サトウキビを原料としたラム酒を母島の海底に沈め、波の揺らめきで熟成が進んだ海底熟成ラム酒、お祝い事やお祭りでふるまわれるウミガメ料理など、ここでしか味わえない味覚が堪能できます。

このページの先頭へ